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2018.04.17

誰がプレゼンテーションを殺すのか? チャンスを棒にふる3つの害悪

Matej Kastelic / shutterstock.com


ヘッドセットのマイクが登壇者を殺している

最近は、ヘッドセットのマイクを使うプレゼンテーションも多い。先端のスポンジが黄色だったり、赤色だったりして、「何か食べているのか?」と思ったことが何度もある。

ヘッドセットのマイクは欧米人には似合うが、日本人にはちょっと難しいものがある。アジア系の顔には微妙だ。そのうち似合うようになるとは思うのだが……。ときどき、筆者もあれを用意されるのだが、元々がドカベン顔なので似合わない。結果、洋服につけるピンマイクか、ハンドマイクにしてもらう。

あれが似合うのは、プレゼンテーションを根本的に習得できている人だけだと思う。つまり、言葉だけなく、全身を使って、エネルギーを放出できる人には似合う。

プレゼンテーションは想いを伝える場所だ。流行でやってはいけない。聴衆者が「?」と感じることはやめたほうがいい。実際、いくつか聴取者として参加したイベントで、「何だあの格好は?」「マイクに合わないな」と思っている間に、冒頭の大切な部分を聴き逃したことが幾度もある。多分、他の人も同じだろう。

既存の理論を述べるならAIの方がマシ

プレゼンテーションで理論を並べる経営者がたまにいる。マーケティング用語、手法などを並べて、「〇〇という事によって」「市場の動向が……」「〇〇の分析によると」っと、自分の意見がどこにもない。分析官であるコンサルタントはそれでOKだが、プレゼンテーションに立つ人間でそれはNGだ。

「私は、こう考える」「私はこうしたい」という想いを、情熱を込めて語ることが必要だ。既存の理論をなぞるなら、AIに説明させても一緒。説明を聞きたいわけではない。プレゼンテーションを聞きたいのだ。

その他にも、ストーリーのつくり方や長さなど、プレゼンショーションを殺す要因は沢山ある。でも、大きくは以上の3つだ。大切なのは、「格好をつけないこと」である。

プレゼンテーションは、想いを放出させる場所である。そして、聴取者やマスコミの先にいる消費者を感動させ、消費活動に結びつけることにある。せっかくのチャンスを、ちょっとしたことで棒にふるのはもったいない。

もちろん、悪い事を説明するときも同様だ。そんなときにこそ、自分の想いを放出させる必要がある。某仮想通貨会社の謝罪会見もひどいものだった。社長と取締役のシャツのサイズも合ってないし、頭を下げるときは目を閉じる必要もあった。消費者にとってどんなプレゼンテーションが必要かを考えれば、場所も時間も不適切だった。

あの会見を殺した人間は誰なのだろうか? 筆者は警察や探偵ではないので、犯人探しが目的ではない。できれば、殺されるプレゼンテーションをひとつでも減らしたいと、いつも思っている。

【連載】野呂エイシロウの「誰が〇〇を殺すのか?」
過去記事はこちら>>

文=野呂エイシロウ

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