鳥が地球の磁場を検知することは以前から知られていたが、どのように見ているのかは分かっていなかった。しかし、スウェーデンのルンド大学とドイツのカール・フォン・オシエツキー大学の研究結果によると、鳥の目に存在する特別なタンパク質が磁場を検知しているのだという。
ヨーロッパコマドリとキンカチョウを調べたところ、目から「Cry4」という珍しいタンパク質が見つかったという。
Cry4は青色光受容体のクリプトクロムの一種だ。クリプトクロムは植物も動物も持っているものだが、研究対象となった2種類の鳥たちは、クリプトクロムの中でも特にCry4によって地球の磁場を視覚化しているらしい。
地球の磁場を見ることができる能力は磁気受容(magnetoreception)と呼ばれ、青色光受容体がそれを可能にする。ヨーロッパコマドリについては、Cry4が渡りの時期に増えたことも確認された。これにより、長距離の飛行においても正確な方向を察知しているとみられる。
研究チームは、Cry4が鳥の視野にフィルターのような効果を与えていると推測している。このフィルターがコンパスの役割を果たし、渡りの際に役立っているのだろう。
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究チームは、そのフィルターが実際にどのように見えるのかを想定したビジュアルを公開した。鳥たちは空中に浮かぶ磁力のサインに向かって、正確な方向に飛んで行くのかもしれない。