強気筋は、ビットコイン価格はまだ上昇傾向にあり、いずれ3万ドル(約321万円)の水準に達すると主張する。デジタルマーケットプレースと仮想通貨ウォレットを備えたブロックチェーン統合型プラットフォームを提供するNYNJAの最高戦略責任者(CSO)、マーシャル・タプリッツは、値上がりを見込む一人だ。
「価格変動の差益を狙う投機は、いつでも困難だ…それでも、ビットコイン価格が上昇する傾向にあることは明確だ。10年後には、2万ドル近くに値上がりしているだろう。価格が反転するたびにメディアは事実をゆがめて伝えるが、仮想通貨の値動きを初めから見てきた人なら誰でも、3万ドルに達する可能性があると見ている」
売買の当事者が任意の決済方法で直接取引できる分散型マーケットプレイス、ローカルコインスワップのダニエル・ウォーズリー最高執行責任者(COO)もまた、同様の考えだ。
「ビットコインとその基幹技術であるブロックチェーンほど、“戦いの試練”に耐えてきたネットワークはない」
「…あらゆる攻撃に耐え、生き残ってきた。年内に2万ドルを超えても全く驚かない。否定的な報道が現在の価格に与えている影響と値上がりに対する投資家の期待から考えれば、前向きな動きがほんのいくつかあるだけで、価格は上昇し始めるだろう」
「熱狂」は続かない?
一方、弱気筋は(競合する新たな仮想通貨の登場による)需要の減少と全体的な供給量の増加から、ビットコインをいずれ収まる「一時的な熱狂」と見ている。場合によっては、価格は再び1000ドル程度にまで下がる可能性があるとの見方だ。
英調査会社フロントライン・アナリスツのシニア・リサーチ・アドバイザー、ダン・デイビーズの推計によれば、ビットコインの基本的価値は、1142ドルだという。ただ、市場が合理的に反応した場合でも、この基本的価値を反映した価格に戻るまでには、かなりの時間がかかる可能性がある。
また、ニューヨーク市立大学バルーク校のクリストス・ジアニコス教授(金融学)は、「行動と期待の合理性は、資産価格が基本的価値に等しいことを保証するのに十分ではく、そのためバブル発生を防ぐことができない」と指摘している。
「適正」価格に導く要因は
ビットコインを最終的に、その基本的価値に等しい価格にするものとは何なのだろうか。考えられるのは、次の2つだ。
1つはビットコインその他の仮想通貨市場において、エンロンショックやリーマンショックのような企業の不正に関わる問題が発生することだ。19世紀半ば、西部開拓時代の精神を思い起こさせるような状況だ。もう1つは、金融緩和政策の終了だ。利上げによって、ビットコインへの熱狂が膨らませたバブルから、「空気」が抜かれることになるだろう。
ビットコインをはじめその他の仮想通貨市場のボラティリティは今後も高い状態が続くとして、OTE&COSMOTEのデジタル・パートナーシップ&プロダクト&パートナーシップ部門のマネージャー、ディミトリス・イオアニデスは次のように述べている。
「最終的にどうなるか、誰にも分からない。ビットコインはこれまでになく激しい戦いに直面することになるだろう」
「各国の規制当局、政府、中央銀行は新たなルールを導入し、制限を設けようとしている。私たちが理解しておかなければならないことの一つは、ビットコインのボラティリティが収まることは、取引が続く限りなくならないということだ」