ゲノム解析の女性起業家が考える、私たちの未来


そのため、叶えたい夢や願望、こうありたいという自分の信念が大きい人ほど葛藤しやすいし、外因的な選択を要求される競争環境が常に激しい仕事をしている人は葛藤を感じやすいです。逆に、既に夢をかなえた人、または強く目指したい方向がない人も葛藤を持ちにくいと、いろいろな生き様を見て思いました。

仏教学者と宇宙物理学者の対話を綴った「真理の探究」という本でとても面白かったのが、仏教と科学の両方で行きつくのは、世界のほとんどの事象はどこまで行っても「正しい」ことと「正しくな いこと」の2択で捉えることはできないということです。

受験勉強や義務教育で習ってきたような、この一つさえ選択すれば絶対に正解である、という状況は生きる上では稀です。まるで生物のようだな、と思います。正しいことが時間の経過に伴って正しくなくなったり、逆に正しくなかったことが正しくなったりします。

そんな中、進むべき道がわからず葛藤を抱えていたときに、大先輩の経営者の方から、「自分の中に相反する矛盾があるときには必ず何かを発見できる」ということを教えてもらいました。

「福岡伸一、西田哲学を読む ─生命をめぐる思索の旅 動的平衡と絶対矛盾的自己同─ 」という本にも、相反する概念の「あいだ」を考えることが生物学的にも哲学的にも重要だと書いてあり、なるほどなあと思いました。

それがきっかけとなって、改めて先述の様々な葛藤と対話してみると、実は多くの発見がありました。

研究室と会社の二足の草鞋を履くことで、時間の選択で迷うよりも、自分が選択した時間配分を心から信じて集中力を発揮する方が圧倒的に大事だということに気がつきました。否定をされたことで、向かい風でありながらも進みたい意志があることを発見しました。拒絶を経験したことで、落ち込まないことよりも何度も立ち上がれることの方が何倍も大切なのだと気がつきました。

痛いという感覚はとても優秀で、頭痛や腹痛を感じることで目には見えない重要な病気に気がつくことができます。同じように、心が痛いと感じることで、自分が何を大切にしているのかに気づくことよくあることです。

もしいま何かに葛藤を持って悩んでいる人がいるなら、自分ではまだ無自覚だとしても、何かの新しい可能性が既にあなたの手中にあるのだと思います。

一方で、様々な方に葛藤についてヒアリングしてみると、自分の信念や理想を強く持っているにも関わらず葛藤なんて全くないと言う人もいることに気がつき、そのような人の特徴を観察してみました。

そこで気がついたのは、「目指したいものに対して大きな覚悟を決めている人は葛藤しない」ということです。

文=高橋祥子

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