「ザ・ハリウッド・リポーター(THR)」が4月5日に掲載した記事で、権利交渉にあたった弁護士が、「人生で最も複雑な交渉になった」と述べている。映画版「ロード・オブ・ザ・リング」は6作品で合計60億ドル(約6417億円)の興収をあげた超人気作品だ。
実現すればHBOのドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」に匹敵する視聴率をたたき出す可能性がある。
だが、アマゾンが抱えるリスクもある。THRによると今回の契約は5シーズンを製作することが条件となっており、撮影費用を含めるとアマゾンは最終的に10億ドル(約1068億円)以上のコストをつぎ込むことになるかもしれない。THRは今回のディールを「史上最も高額なドラマシリーズ」と呼んでいる。
これは危険な賭けと呼んでも過言ではない。「ゲーム・オブ・スローンズ」のようなヒット作が欲しいアマゾンの気持ちは分かるが、これほどの巨額な費用を「ロード・オブ・ザ・リング」に投じることが果たして理にかなっているのか、という疑問も浮かぶ。
問題の1つは、ピーター・ジャクソンが監督した映画の最初の3部作の完成度が高すぎることだ。ファンにとってはそれが基準となっており、そのクオリティを下回れば厳しく批判されるだろう。また、その後作られた「ホビット」の3部作の出来が予想を下回るものになったことも懸念材料だ。
アマゾンは5シーズンのドラマを製作するにあたり、作品の世界観を一から再構築する必要に迫られる。
しかし、アマゾンにとって希望の光と言えるのが、映画3部作を撮ったジャクソン監督が製作に関わる可能性だ。THRの記事では、ジャクソンの弁護士のピーター・ネルソンがアマゾンとの交渉に入ったと報じられている。
アマゾンとの契約についてネルソンは、次のように述べている。「今回のディールは、まさに時代の産物といえる。ストリーミング企業らが、作品のライセンス費用を競り上げる結果を招いている。アマゾンは映画業界が有名原作に対してとったアプローチを、ストリーミング分野で再現しようとしている」