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世界を目指す「社内発イノベーション」事例

(c)CARTIVATOR

日本企業のオープンイノベーションによる表面的活動は一巡し、本気のイノベーション創出活動を模索する段階に来ている。そこでは企業という枠組みを超え、個人のミッションやモチベーションを原動力にした動きも存在する。

学生や社会人100名による業界有志団体、CARTIVATORもその一つだ。2020年東京五輪の開会式での聖火点灯を目下の目標とし、2050年には誰もがいつでもどこでも飛べる時代を掲げ、週末等の余暇時間で空飛ぶクルマ「SkyDrive」の開発に取り組んでいる。

コミュニティとしては異例のスポンサー数36社。昨年、トヨタグループ15社から4250万円の支援を受け、今年3月にはパナソニック、NECとスポンサー契約を締結する等、大手企業も多数含まれている。

一人前になるまで10年は長すぎる

CARTIVATOR代表の中村翼氏は、大手自動車メーカーに勤務し、コンパクトカーやセダンの足回り部品の設計を担っている。幼少の頃から無類の車好き。中でもフェラーリは特別で、両親にせがんで年7〜8回レースに連れていってもらったほどだという。

小学生の頃にはスーパーカーを作れる自動車エンジニアになろうと決めていたが、公害を減らす環境対応車にも興味がわき、大学時代は燃料電池にも関わる研究に明け暮れた。



レースと環境それぞれに携われるような仕事をと、自動車の設計部門に的を絞り就職活動していた折、現在の会社がハイブリッドのレーシングカーでレースに出ることを知り応募。めでたく入社するも、現実を突きつけられる。レーシングカーの設計は子会社が行っており、スポーツカーの企画部門も40歳の管理職以上でないと関われなかった。

「エンジニアは10年で一人前と言われます。でも待てませんでした」

個人起点の課外活動がきっかけ

入社3、4年目の頃、起業を決意した中村氏は海外MBAの予備校の説明会に赴く。

当時描いていた、オーダーメイドで自動車を作り販売するというビジネスモデルを会場でぶつけたところ、「具体的な想いがあるなら勉強している場合じゃない。先に起業するなりアクションするなりしないと」と、講師からビジネスコンテストを紹介される。プライベート活動として大学時代の同級生と会社の同期に声をかけて応募したところ、見事優勝。

会社で取り組めるか新規事業の企画部に話を持っていくも、「自社の新規事業は車以外を扱っているから受け取れない」と門前払い。他部署もいくつかあたってみたが、「面白いね」で終わり、それ以上話しが進むことはなかった。

「ダメなら自分達でプロトタイプを作ろう」。これがCARTIVATOR発足の足がかりとなる。

早速知り合いを10人集めてプランを共有。ディスカッションを重ねるなか、空飛ぶクルマに落ち着き、2014年1月、開発に着手。当初の活動費はすべて自己負担。一番初めの試作機に費やした50万円〜60万円も各人で出し合った。1年後、クラウドファンディングを募る。目標額に達したものの、それでも作るに足りず補填した。

自己負担だけに頼るわけにはいかず、スポンサー集めにも奔走した。できるだけコネクションを使い、自分達の勤めている企業に声がけする等してキーマンを紹介してもらった甲斐が実り、支援先が少しずつ増えていった。初期には、夢や想いに共感してもらっての出資だったが、最近では「同じ目標をもって歩みましょう」に変わってきたという。

活動開始から3年後の2017年5月、冒頭触れたトヨタグループからの支援が決定したことが新聞に載ると、多数のメディアが続いて取り上げた。その余波はボランティアスタッフ拡大にも繋がる。200名から応募が殺到したのだ。

文=木村忠昭

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