働き方が多様化する昨今、会社員でいることのメリットとリスクとは?

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そして、「そもそも、その成長が、自分の本当にするべき成長でない恐れがある」とも言えます。例えば、私は入社してすぐに大きめのイベント案件にアサインされ、上司にイベントの備品の一覧表を見せてもらいながら説明を受けました。そこにはトラックが何台、とか、三脚がいくつ、などの数値とそれぞれの値段が記載されていました。

上司が「お前もあと数年したら、イベントの概要を聞いただけで『これくらいの規模だとトラックは何台で、価格はこのくらいかな』と、調べなくてもわかるくらいにならないとダメだぞ」と言っていたのを覚えています。私はそのとき、入社した後から気づいてしまって本当に本当に申し訳ないのですが、「私が数年後にプロになっていたいのは、この分野ではなかった」と、気づいてしまったのです。

どんなイベントに何台トラックが必要か、といった実働の部分もとても大切だし、そういったオペレーションは非常に苦手なのでしっかりと推進できる人のことはすごく尊敬しています。

しかし、私がやりたいのはそもそものイベントの内容の企画とか、あるいは「リアルイベントとweb施策とどちらが効果的だろうか」といった戦略の部分だったことにこのとき、はっきりと気がつきました。

あれから数年間色々あり、結果的に自分の思い描いたような分野で力をつけることができて今はよかった、と思っていますが、恐らくあのままイベントの備品表を何回見ていても、私はその分野のプロにはなれていなかったと思いますし、それが自分のするべき成長だとは思えなかった可能性が高いです。

以上、色々ふまえての私の中での結論はこうです。

・自分の強みや最高価値を正しく把握し、それを会社側(上司等)にも認識してもらう
・自分自身の将来身につけていたい専門性やスキルをイメージする
・それを一番伸ばせる環境に身を置き、自分に合った働き方で仕事をする

上記のことができるのであれば、会社で働くというのは、とても素敵だな、と思っています。しかしこれには本当に色々な力が必要とされるし、とても難しいことです。自分がそれをできなかったので、これを実現して活躍している方々をすごく尊敬しています。

いま取り組んでいる分野や割り振られている役割が本当の自分の価値と違うところにある、あるいは、そもそもその分野のプロになりたいと全く思えない、といった場合は、状況を変える努力や決断が、必要なのかもしれません。

心にひんやりとした違和感や焦りを感じた方がもし、いたとしたら、それは「いま」なのかもしれません。本当は合っていないと思い続けたまま、何年も経過してから「やっぱりこれじゃなかった」と実感するのでは、あまりに悲しいです。

私の場合は、当時部署を変えたいとか職種を変えたいということを一応人事には伝えてみたものの、やはり半年では当然難しいようでした。にも関わらず社内でそういった働きかけをして上司やチームの人にどう思われるか、というのも怖かったし、かといって違和感を抱えたまま過ごすのは限界で、体調も崩し始めていたところだったので、辞める決断をしました。

そして、転職をして再び自分の成長を環境に依存させるのはリスクが高い、と思い、がむしゃらにでも自分自身で模索していったほうがまだ納得できるだろうとの考えから起業しました。結果、そのときの決断は正しかったと思っています。

次回はフリーランスやベンチャー起業、という働き方について書いていきたいと思います。

文=関口舞

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