ビジネス

2018.04.07 11:30

世に言う「胃袋を掴む」という強力な近道

ニースにあるお店KEISUKE MATSUSHIMA

ニースで15年、そして東京で8年お店をやっていますが、ことあるごとに「よくそんなに世界中に知り合いがいるよね〜」と言われます。確かにそうなんです、若手起業家から大御所、スポーツ選手まで、友達がいっぱいいます。僕は“胃袋ネットワーク”だと言っています。

僕の拠点ニースは、世界的なイベントが行われるモナコとカンヌに挟まれていることもあり、フランスのいち地方都市ですが、世界中から人々が集まります。ビジネスでいうと、ここにお店があるというのはとてもアドバンテージがあります。15年前に独立する際にこの街を選んだのは、太陽や海もありますが、そういう側面も大きいです。

いい“場所”が道をひらく

ここで、ニースの立地条件について少し書こうと思います。世界的なリゾート地として知られるこの街が発展したのは、1860年から1914年、「ベル エポック(良き時代)」と呼ばれた時代でした。

その頃賑わっていたのは、今のように夏場ではなく、どちらかというと冬のシーズン。ニースの太陽と温暖な気候を求めて、王室やヨーロッパの貴族など裕福な人々が長期滞在にやって来たことで発展していきました。1882年から1944年まではカジノもあり、大いに賑やかだったのではないかと思います。

あまり知られていないのですが、今ではフランスが誇る大企業となったルイ・ヴィトンも戦後はパリとニースにしかお店がなく、その当時は世界中から避寒地として訪れたお客様に対して販売や修復をしていました。人が集まる場所には活気が溢れるので、やはりどの時代でもビジネスで「場所を選ぶ」ことはとても重要です。



飲食的な話をすると、フランス料理で世界的に有名なシェフにオーギュスト・エスコフィエさんという方がいるのですが、そのエスコフィエさんの出身はニースの隣町のヴィルヌーヴ=ルベ。彼はそこからモナコへ仕事へ行き、ホテル王と言われたセザール・リッツさんと出会いました。それがきっかけで、ロンドンに行き、パリでホテルリッツの総料理長として活躍。フランス料理発展の重要なリーダーとして、『料理の手引き』(Le Guide Culinaire)という教科書のような本を出版し、伝統的なフランス料理の大衆化と革新に貢献したことで知られています。

ロンドンか、ジュネーブか

エスコフィエさんも時代の変化をとらえ、いい場所を押さえていたのかな? なんて考えると、僕もニースから次なる都市、英語圏であるロンドンにお店を出してみたいなという野望が湧いてきます。

たまに市場調査という名の下にロンドンへも行きますが、「一日いれば世界のマーケットが見える」と言われるこの金融都市はいつも活気に包まれていて、BRICsや南アフリカの人も多いような気がします。そんな都市でお店を持ち、胃袋を掴むことができたら面白いな〜と、考えずにはいられません。

実際、ニースを拠点にしたレストランがロンドン経由で世界に発展しているケースもあります。それにロンドンは今また和食が大ブーム。メディアの影響力も強いので、世界制覇に向けた仕掛けをするのにいい土壌だなと見ています。
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文=松嶋啓介

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