研究チームが実施した調査の参加者は、フェイスブックの使用を5日間やめただけだ。さらに、その「使用できない」グループに振り分けられたことを、特に喜んでいたわけではない。そのため、この調査は必ずしも、フェイスブックの使用を長期にわたってやめることで起こり得るライフスタイルの変化を明確にするためのものとは言えない。
研究チームは大学生のグループを対象に調査を実施、一部には週末を含めた5日間、フェイスブックの使用をやめてもらった。参加者たちは事前に身近な人たちに対し、何日間かフェイスブックが使えなくなる可能性があることを伝えておくことができた。
参加者らの幸福度を計測するため、調査期間の前と終了後には心理テストを実施。また、ストレスレベルを測るため、コルチゾール(ストレスホルモン)値の測定を行った。
その結果、フェイスブックの使用を不可とされた参加者らは、コルチゾール値が低下していたことが分かった。そして、同時に幸福度も低くなっていた。
研究チームによれば、多くの参加者が調査の終了後、無事に終わったことやフェイスブックをまた使えることに「ホッとしている」と述べたという。この調査の問題点の一つは、参加者たちが実際にフェイスブックをやめたいと考えていたわけではなかったことだ。研究チームも、「フェイスブックの使用を実際にやめたいと考えている人たちを調査対象としていれば、短期間の使用中止でも苦痛を感じたという人はより少なくなっていたかもしれない」との見方を示している。
だが、さらに問題だと言える点は、調査期間が短かったことだ。便宜上という理由もあって5日間としたことについて研究チームは、「フェイスブックのアクティブユーザーが“切り離された”感覚を持つには十分な期間と考えた」と説明している。
研究チームはまた、フェイスブックの使用を止められた人たちは「切り離されていることに不満を抱き、主観的な幸福度も低下するだろう」と予測し、「私たちは他者とつながっているという感覚を基本的に必要としており、それを与えてくれるフェイスブックを使えないことは、生活に対する満足度も低下させると考えた」という。
つまり、この調査は参加者らに短い期間、友人たちから「切り離される」感覚を持たせるように設計されたものだということになる。使用をやめると私たちに何が起きるかを明らかにするものではない。
過去の研究結果では、フェイスブックの使用をやめると全般的に「幸福度が増す」ことが示されている。著名人でも一般の人たちでも、長期にわたってフェイスブックを使わなかった場合、それが精神的な健康の促進につながったとする事例が挙げられている。一方、過度の使用は孤独感を強め、より孤立させること、気分を落ち込ませることが確認されている。また、フェイスブックを使用すると嫌な気分になる人が多いことも指摘されている。
私たちが自分自身や他者とつながる方法にソーシャルメディアがそれほど根本的な変化をもたらしたのだとすれば(そうである可能性は高いようだが)、その影響を排除するには、5日間では不十分だろう。できれば今後より多くの人たちに、この点について自分自身で試してみてもらいたいところだ。