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2018.04.06

バイドゥら3社が激戦、中国「動画ストリーミング」市場の行方

testing / Shutterstock.com


中国の消費者は近年、コンテンツにお金を払い始めてはいるが、それほど高い出費を行うわけではない。会員費だけで製作予算を賄うことはできないのだ。IHS Markitのデータでは、中国消費者がオンライン動画に支払う金額は1年間で平均27ドルだという。これは、米国の平均の123ドルにはるかに及ばない。

ネットフリックスが月額で11ドルを徴収するのに対し、中国のストリーミング企業は3ドル程度の会員費となっている。

また、人気のコンテンツの権利費用の高騰も彼らを苦しめる。その一例が、テンセントが140万ドルで独占配信権を得た2017年の人気テレビドラマ「如懿伝(Ruyi’s Royal Love in the Palace)」だ。70話で構成されるこのドラマで、テンセントは1億人以上の新規利用者を獲得したという。

しかし、今後は中国の地方部での新規会員の獲得が見込める。さらに、人々がテレビよりもオンライン動画の視聴に多くの時間を割く傾向が強まるなかで、広告主らもネットへのシフトを強めている。

調査企業「eMarketer」は中国のデジタル動画広告市場は3年以内にテレビを追い抜き、2021年には176億ドル(約1.9兆円)規模に達すると予測している。

アリババはEコマースとのシナジーを期待

しかし、アナリストの間からは「ストリーミングサイトの収益化の時期は見えていない」との声もあがる。86 ResearchのZhangは「今後の市場の統合が進まない限り、収益化は望めない」と述べた。

そんな中、アリババの傘下のYoukuは別のモデルで収益化の機会を探っている。2015年にYoukuを買収したアリババは、動画の視聴者らにEコマースで商品を買わせようとしている。Youkuでファッション関連の動画を流し、タオバオやTモールなどでの購入を促す戦略だ。

「Youkuがアリババにシナジーをもたらなさいとしたら、動画にかける予算は削減されるだろう。これは他の動画ストリーミング企業にも大きな影響を与えることになる」とZhangは述べた。

編集=上田裕資

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