ビジネス

2018.04.08

問題の自動運転、そんなに急ぐ必要はあるのか?

Photo by Alexander Koerner/Getty Images


アメリカのある調査を見ると、公衆は自動運転のほうが安全だとは考えてないことが分かる。最近のピュー・リサーチ・センターの調査では、アメリカ人の50%以上が、AIで制御されるクルマに運転を任せてしまうることに違和感を感じ、自動運転車で移動することに疑問を感じているという。

しかし、何といっても重大な問題は、自動運転の自動車の責任は誰が負うのかという点だろう。歩行者が亡くなってしまったあの事故では、自動運転車に検査員ドライバーは乗ってはいたが、操縦はしていなかった。その場合、死傷事故の責任は誰にあるのかという点は、まだ法的にも未整備だ。

ヨーロッパでは、自動運転やロボットの動作について法的な整備が進んでいる国もあるが、そうでない国や地域が多い。

自動運転がスタートするには、まだまだ時間と準備が必要だ。僕個人としては、実用化は2040年ぐらいだろうと予想している。各国政府と業界は一歩さがって、実用化を急がず、自動運転の長所と短所を熟慮しなくてはならない。もちろん、いずれはそれを可能にするテクノロジーが確立される。でも今は、経済的な需要が大きいとはいえ、一般市民が本当に自動運転を求めているのかどうかを見極めてみるべきだ。

あのショッキングな事故があった今、一般の人々はこれまでになく自動運転に疑問を感じている。社会の意識が自動運転を歓迎するようになるには、公道での重大事故を確実に回避するプロトタイプが完成することが不可欠だ。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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