IT業界が「プログラミング教育」で立ち上がるべき理由

サイバーエージェントの藤田晋社長(左)とCA Tech Kidsの上野朝大社長(右)


例えばCA Tech Kidsでは、スマホで写真を撮ることで刺繍の図案が瞬時に作れるアプリを開発した生徒がいます。有料アプリとまったく遜色ないような出来栄えです。子供扱いせずに開発させてあげれば、小学生でもそうしたプロダクトを作れるのです。ところが、「ロボットが動いた。楽しかったね」と、“お勉強”っぽくすると、途端にお遊戯レベルになってしまう。その点、我々はIT業界の観点で進めているので、子供が大人よりもできてしまうこともあります。「子供の限界を大人が決めない」というのも大切です。



──シリコンバレーのハッカソン(プログラマーが短時間で試作品を企画開発するイベント)では、一晩で企画開発からiTunesストアへの申請まで持っていくチームもあります。

上野: 今回のコンテストでは、プログラミング・コンテストやアイデアソンというよりも、参加する子供たちに「今はこういうものを作っている」という話を聞かせてほしいですね。極端なことを言えば、ものすごいプロダクトを開発する子に「投資したい」という会社が出てきてもおかしくありません。それくらいのポテンシャルを秘めた子が現れることを期待しています。

藤田: 学校で先生が直接的に投資することはないでしょう。我々はまずはその架け橋的な存在になれたら、と思っています。将来的には企業が青田買いしたくなるような、プロ野球に喩えるならスカウトが目を付けるような「超高校級のプログラマー」を育てる──。そういう世界にしていった方が実学的で面白いですよ。一方で、先のマーク・ザッカーバーグCEOや将棋の藤井聡太六段のような天才もいます。多様な人材を発掘するのは有意義な試みだと思いますね。

上野: 埋もれている逸材に輝ける場を提供したいですね。コミュニケーションが苦手だったり、学校ではうまくいっていない子供がじつはプログラミングは大得意だった、というのもよくある話です。そういう子も輝ける場にできれば。そういう子が現れるのを「待っている」と保護者の皆さんにも伝えたい。今回、国内外の多数のIT企業が賛同してくれました。皆、思いは同じだと思います。業界一丸でそうした才能を輩出する座組を作れれば。

藤田: コンテストを目指す子から新しい才能を発掘し、ゆくゆくはスターを生み出す──。そうなるといいですね。

インタビュー=井関 庸介 写真=鷲崎浩太朗

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