今回、同コンテストを主催する「Tech Kids School(テックキッズスクール)」の運営会社であるCA Tech Kidsの上野朝大社長と、同イベントに協賛するサイバーエージェントの藤田晋社長に、コンテストを開く目的と、IT技術者を巡る現状、小学校プログラミング教育の課題などについて聞いた。
──「Tech Kids Grand Prix」は、国内外の有力IT企業が賛同して開かれることになりました。狙いはどういった点にあるのでしょうか。
藤田晋(以下、藤田): ひと言でいえば、子供たちにとっての目標になる「甲子園」のようなものをつくろうということですね。
上野朝大(以下、上野): 小学生向けプログラミング教育がブームになっていますが、その中でも皆が目指したくなるようなコンテストを開催しよう、と。それをCA Tech Kidsだけでなく、IT業界全体で盛り上げていこうというのが開催の主旨です。
藤田: かつて「IT土方」というネットスラングがありましたが、プログラマーと言えばそれぐらい「キツい仕事」というイメージがありました。しかし最近では、フェイスブック共同創業者マーク・ザッカーバーグCEOに代表されるように、プログラマー出身の経営者や著名人も多数出てきていて、プログラマー、エンジニアの職業的な地位は大きく向上しました。人が資本であるIT業界においては、プログラマー、エンジニアが一番重要な存在ですから。そういう意味では、日本だけでなく世界中でプログラミング教育が注目を集めていることも当たり前のことでしょう。
──IT業界では将来的なエンジニアやプログラマー不足の問題が指摘されています。そういった問題意識も根底にあったのでしょうか?
藤田: エンジニアが足りないという問題は、IT企業である当社ももちろん感じていました。世の中では英語教育の必要性が叫ばれていますが、我々の現場感としては、英語よりもプログラミングができる人材の方がよほど需要があります。そういう意味では、優秀なプログラマーの育成は社会にも喜ばれるし、需要が逼迫していることもあり、企業からも歓迎されるのではないでしょうか。
ですが、私たちがプログラミング教育事業を始めたキッカケとしては、エンジニア不足を解消するためというよりは、私たちなりの社会貢献という意味合いの方が強いですね。「プログラミング教育の義務化」という流れもありますが、一番の問題はエンジニアを育てる「先生」が圧倒的に足りていないということ。それなら、実際にエンジニアを雇っている私たちのような会社が力になれるのではないかと。