「タバコの葉」でつくるインフルワクチン、2020年発売目指す

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ユニバーサル・ワクチンという聖杯

ほかにもいくつかの会社が、常識を覆すアイデアでインフルエンザワクチンを改善しようとしている。

2017年夏、イスラエルを拠点とするBiondVaxは、幅広いウィルスに対し長期的に機能することが期待される「ユニバーサル・ワクチン」の最終テストを行うために2200万ドルを獲得した。ユニバーサル・ワクチンは9つのインフルエンザの「エピトープ」(抗体が認識する抗原の部分)をもっており、それによって幅広いウィルスに対応することができると同社は考えている。

また今年1月、オックスフォード大学からスピンアウトしたVaccitechはシリーズA投資で2200万ドルを調達した。彼らは同じくユニバーサル・インフルエンザワクチンを発展させようとしており、インフルエンザAのすべての種類を認識・対応できるようにデザインされたワクチンをつくるという。

最終的にどのテクノロジーが普及するかを予測するにはまだ早いが、すべての人がよりよいインフルエンザワクチンを一刻も早く望んでいることは間違いないだろう。アメリカ疾病予防管理センターによれば、インフルエンザシーズンが静まり始めた2月下旬の週でも、米国では13人の子どもがウィルスによって亡くなっている。

「ユニバーサル・ワクチンは“聖杯”になるでしょう」と、Medicagoの科学・医療部門のシニアディレクター、ナタリー・チャーランドは言う。だが彼女は、ユニバーサル・ワクチンに取り組む企業たちは、規制を乗り越えるために法外な時間を要することになると予想する。Medicagoは、今年秋までに臨床試験の第3段階を終える予定だという。

ケベック・シティーを拠点にするメディカゴは、タバコの植物でいっぱいの施設をもつノースカロライナで臨床試験を進めている。第3段階で、彼らはワクチンをプラシーボ(対照実験用の偽薬)と比較し、ワクチンに対する抗体反応を見ることでインフルエンザの感染率を測定する。もしすべてがうまくいけば、メディカゴは2020年のインフルエンザシーズンにワクチンを発売するつもりだ。

「わたしたちは、需要に対して大きな遅れのあるいまのワクチンを改善しようとしています」とチャーランドは言う。「一般的にはあまりよく思われていないタバコという植物を使って、命を救いたいと思っています」

翻訳・編集=宮本裕人

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