そうした中でテリーザ・メイ英首相は3月、国内に拠点を置く金融機関がEU単一市場へのアクセス(パスポート制度)を利用できなくなる可能性に言及。これを受け、ロンドンの金融街では先行きに関する懸念が一層強まっている。
離脱交渉の難航と不確実性の上昇はすでに、一部の企業に新たな行動を起こさせている。ブレグジット後をにらみ、欧州域内の新たな拠点での活動の準備を始めているのだ。そして、ロンドンの“損失”は主に、独フランクフルトの“利益”になりそうだ。
金融機関が計画している従業員の配置転換などについて調査したブルームバーグによれば、英国で働く米ゴールドマン・サックスの総勢およそ6000人の従業員のうち、1000人ほどがフランクフルトに異動となる予定。ロンドンの投資銀行部門の従業員やトレーダーらにはすでに、ドイツへの転勤の可能性が伝えられているという。
また、スイスの金融大手UBSは、英国で勤務する5000人のうち1500人をフランクフルトまたはスペインのマドリードに配置させる方針。英金融大手のHSBCもブレグジットに備えた緊急時対応策を準備しており、1000人を英国内からパリに異動させる計画だ。
英・EUの通商協定に関する今後の協議の内容次第では、ロンドンからの金融機関の「集団脱出」は、さらに大規模になっていく可能性がある。
大手金融機関が発表した新たな人員配置計画
* 2018年3月末までに発表済みの情報に基づく
出典:ブルームバーグ