今年3月末までの12か月間で、日経平均株価は7%上昇し、円も対ドルで6%高となったほか、訪日外国人観光客の数は過去最高を記録した。結果、今年の長者番付に入った50人の8割が1年前から保有資産を増やした。
中でも好調だったのが、ソフトウエア、製造、小売り、化粧品の4業界だ。番付入りした50人の保有資産総額は、昨年の1520億ドルから1860億ドル(約19兆5000億円)に増加した。
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2年連続で日本一の富豪の座に立ったのは、ソフトバンクグループ社長の孫正義だ。ソフトバンクは今年1月、米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズの株式を割引価格で多数取得して話題を呼んだ。
さらにウーバーは3月下旬、同じくソフトバンクが出資する配車サービス企業グラブ(Grab)に東南アジア事業を売却すると発表。ソフトバンク株の上昇により、孫の保有資産は昨年比15億ドル(約1570億円)増の219億ドル(約2兆2900億円)となった。
今年の番付で資産の増加幅が最も大きかったのは、センサー大手のキーエンスを創業した滝崎武光だ。滝崎の資産は昨年比51億ドル(約5300億円)増の176億ドル(約1兆8400億円)となった。キーエンスはこのところ、製造現場で進む自動化の恩恵を受けている。工場の自動化に当たっては機械やロボットの動きを監視するセンサーが必要とされ、同社の売上高は日米両国で大きく増加した。
製造業ではまた、日本電産の永守重信会長兼社長が保有資産を大幅に増やした。その資産額は昨年比20億ドル(約2100億円)増の55億ドル(約5800億円)に上る。家電・産業用モーターなどを製造する日本電産は、米国やメキシコ、中国、英国でも事業を展開している。
今年は、新たに2人が番付入りを果たした。うち1人は、化粧品メーカーのノエビアを創業した大倉昊。ドイツの「黒い森」地方に触発された製品を販売するノエビアの株価は、ここ1年で約60%上昇した。もう1人は、佐川急便の持株会社SGホールディングスの栗和田榮一会長。1957年に佐川急便を創業した故佐川清の息子だ。