上司の誤り、伝える時の「禁句」とは

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2つ目に、間違いを指摘された上司は、あなたの言うことが正しいと受け入れる前に、自分が間違っていたことをしぶしぶ認めるよう強いられる。部下が「あなたは間違っている」と言うと、上司は自分自身に対して「そうだな、私は間違っていた」と言って自らの敗北を認めた上で、「部下が私を正してくれてありがたい」と思わなくてはいけない。これは、上司が喜んですることだと思うか?

3つ目に、このような言葉で上司をいさめることで、あなたは上司の頭の中で防衛意識や恥といった負の感情と結び付けられてしまう。上司はあなたと会う度に、無意識の内にこれらの負の感情を呼び起こすことになる。会議で同席するたびに上司はあなたをちらりと見て、「今日は何も言ってくれなければいいが」と考えるようになる。さらに悪いケースでは、会議の前に、あなたからいさめられた場合にどう反論するかを準備してくるようになる。

では、上司には何と言ったらよいか? 上司の作成したスプレッドシートに誤りを発見した時のことを想像してみよう。「作成されたスプレッドシートを確認しましたが、この計算式は間違っています」と言うのでなく、以下の言い回しを試してみるとよい。

「このスプレッドシートと私の計算が、なぜか合わないのです。私だけでしょうか? 3列目で何か気づいたことはありましたか?」

こう発言することで、上司にはっきりとミスを認めさせることなく、そっと再チェックさせることができる。「私はこれに気づきましたが、あなたも気づきましたか?」という言い方は、誤りがある可能性を自分自身に残すやり方だ。「私だけでしょうか?」と言うことで、純粋な好奇心を持った立場から上司にアプローチできる。こうすることで、攻撃性をかなり弱められる。

ここでのポイントは、上司の誤りを責める代わりに、好奇心を示して「ここがよくわからないのですが……」という姿勢を取ることだ。そうすることで、上司にそっと再考や再チェックを促し、誤りを認めさせることなく訂正する機会を与えてあげるのだ。
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編集=遠藤宗生

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