GANTは廃棄ペットボトルを用いた、男性向け及び女性向けシャツのラインナップを発表した。「Tech Prep」と名づけられたそのシャツの素材には10%の再生プラスチックが使用されている。価格は170ドルから195ドルと、通常のシャツよりはやや高めの設定だ。
海の環境を守る試みは他の企業も行っており、アディダスも昨年、再生プラスチックで作ったランニングシューズを発売し、100万足を販売したと報道された。
ストックホルム本拠でスイスの小売グループ「Maus Freres」傘下のGANTは、地中海のマドリードの海洋保護団体「Seaqual」と提携し、今回のプロジェクトを開始した。Seaqualには165の漁師たちのボートが参加しており、海から回収したペットボトルからポリエステル繊維を製造している。
GANTの広報主任のBrian Grevyによると、同社はSeaqualにとって初の提携パートナーとなったという。「Seaqualの活動は海洋保護の観点から非常に重要だ。彼らは他のブランドとの提携も目指しており、我々としても彼らと協力するブランドが増えることを期待している」とGrevyは述べた。
海に漂うプラスチックごみの量は凄まじい水準に達している。年間で800万トンのゴミが海に投棄されており、そのうち75%が海中に留まっているという。
GANTはこのプロジェクトを1年以上前に始動し、試行錯誤の末にSeaqualが生み出すプラスチック繊維に出会ったという。「あまりにもプラスチック的な肌触りの繊維では、誰も着たいと思わない。着心地と適切な価格を両立できる素材を見つけるのは、かなり困難な道のりだった」とGrevyは述べた。
GANTの今回の製品は、完全にサステナブルな素材のみで作られているわけではない。シャツのカラー部分には化学物質の素材が用いられており、ボタンは養殖した真珠で出来ている。
「今後の課題としてはカラー部分の化学物質の使用をやめ、サステナブルな素材のボタンを採用することだ。しかし、完璧を求めていたら前に進むことはできない。地球を少しでも良い場所にするために、まずは出来ることから始めてみた」とGrevyは話した。今年後半に、今回のラインナップをさらに拡大する予定だという。