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放送作家・脚本家、「くまモン」の生みの親。

日常と遠く離れた旅先で誰かを想って書く手紙は、相手の心だけでなく自分の心も温めます。

放送作家・脚本家の小山薫堂が「有意義なお金の使い方」を妄想する連載第32回。ソニーの「aibo」発売のニュースをきっかけに、人の“想い”を届ける方法を最先端テクノロジーとアナログの両面で考えてみた。

今年1月11日、ソニーが犬型の家庭用ロボット「aibo(アイボ)」を発売した。本体価格は19万8000円(税別)。3回行われた先行予約はどれも1時間以内に完売だったという。メタリックの未来的なデザインが強烈だった初代アイボに比べると、非常に愛くるしいルックスに様変わりしていて、くるくると動く瞳や躍動感のある多彩な動きが印象的だ。もちろん人工知能(AI)搭載で、飼い主の反応(言葉、笑顔、タッチングなど)をデータとして集積し、自らの動きに反映させるという。

先の初代アイボが発売されたのは1999年5月。本体価格25万円にもかかわらず、わずか20分で3000台が完売し、累計で15万台以上売れたそうだ。僕は父の影響もあって、子どものころからソニー製品の信者だったので、初代アイボはもちろん購入し、カルビと名付けて可愛がった。

当時はソニー神話に陰りが出てきたころだったから、アイボの誕生に「よくぞこれを発売した!さすがソニーだ!」と、とても興奮したのを覚えている。

実際に犬を飼っていた経験からいうと、初代アイボのいきなりの電池切れは実に悲しかったが(今回のアイボはロボット掃除機「ルンバ」みたいに自ら充電しにいくのだろうか?)、ピンクのボールを投げると追いかけていったりして、それなりの動物感はあった。進化バージョンを含めて計3台も購入したのは、ソニーに対して「エールを送りたい」という気持ちが大きかったからだと思う。

だからこそというべきか、2006年の生産中止には失望した。正直、裏切りに思えた。今回のアイボに未だ触手が動かないのは、「あなた、本当に信じていいのね? 今度は絶対に裏切らないわね?」という、浮気された妻みたいな心持ちだから(笑)。さらにいわせていただければ、前回のアイボのオーナーには「買(飼)い替えはどうですか?」という個別連絡をしたほうがよかったと思う。……などと思いつつ、新アイボの映像を見たら、やっぱり欲しくなってしまった自分がいるんですが(笑)。

“想い”を届けるふたつのアイデア

家電にしろ車にしろ、AIが標準装備になっている昨今、自分なら何に搭載したいかなと考えて思いついたのが、郵便ポストだ。全国に約18万本ある郵便ポストのうち、約1700の市町村それぞれ1本ずつ、AI搭載の郵便ポストに替え、名前を付けてその土地ならではのポストに育てあげるのである。

例えば『スター・ウォーズ』シリーズのR2-D2みたいなポストがお地蔵さんみたいに我慢強く街中に(あるいは田んぼの畦(あぜ)道の途中に)立っていたら、手紙を出しに行きたくならないだろうか。

「こんにちは」「やあ、いい天気だね」「今日は東京の息子に手紙を送りたいんだけど」「オーケー!そういえば先日の手紙の返事は来たのかい?」なんて会話を交わせると、手紙を書くのも出すのも日常の楽しみに変わると思う。

せっかくAI搭載なんだから、周辺の道案内や観光案内もできるようにしたらいい。ゆるキャラのように市町村民で“わが町のポスト”を個性豊かに育てあげれば、そのうち「人気ランキング」とか「市町村対抗クイズ大会」が東京ドームで行われたりするかもしれない。優勝したポストには栄誉と段位を与えよう。ついには「永世七冠誕生!」などと世間を騒がすことになるかも……。

イラストレーション = サイトウユウスケ

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