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石黒:個人的には「人事」というトラディショナルで上司の力が強い部門のせいでもあると思っています。求人票に上司の想定外のことを書くと、「俺の知らないこと書くんじゃない」と、なかなかオッケーをもらえなかったりする。

そんな状況に対して、採用担当はどうやって勝つかといえば、数字で勝つしかない。だからこそ数字が必要というのはすごく正しいと思います。

河合:もしかしたら多くの企業様では、言わなければならないことではなく、言いたいことしか言わないから改善が生まれないのではないでしょうか。日本の採用担当の方は全体的に、デジタルに判断する指標創りや、その運用に対して学べることは多いと思うんです。

マーケティング担当の方はさまざまな要素を見て適切な指標を探していますが、採用担当は母集団の数や選考通過率、費用くらいしか見ないことも多いですよね。リードタイムや誰が面接をするとクロージングレートが高くなるのかを、ポジションや職種、チャネルごとに考えたり、費用対効果を照らし合わせたりということにはまだまだ改善できるかなと思います。

庄田:インターネットの良さは数字が全部とれるところにあると思っています。なぜ人材を獲得できたのか。今までは可視化できなかったものも、すべて可視化できる。それなのに採用はデジタル化があまり進んでいない。

石黒:要は「礼儀」みたいなところもあって。1次面接がSkypeだったら失礼ですよね、と考える人もいる。もちろん、礼儀やマナーは大前提にあるんですけど、むしろ相手にご足労いただかないことのほうがマナーではないかっていう考えがあってもいいわけです。

高野:採用説明会などは動画でいいような気がしますよね。

石黒:伝統的な会社では、「京都から来ました」「東京まで来ました」みたいに熱意を示すことが大事だと思われてるのかもしれない。

河合:そのコストって誰が負担してるんだっけって、あんまり考えている人がいないですけど、考えないともったいないなと思いますね。

「人材と会社をつなぐだけ」の採用担当をアップデートする


キープレイヤーズ CEO/代表取締役 高野秀敏

高野:逆に数字を意識しすぎている例として、面接回数を増やすことで頑張っている感を出している人事もいますよね。「今月は300エントリーで200回以上も面接しました」というように。それで採用したくなる人が来なければ、何の意味もないですよね。

庄田:今の高野さんの話、すごくいいですね。本来、採用担当が考えるべきなのは何人採るのかではなく何のために採るかですが、そのためには経営の結果レベルの視点の高さをもたなければなりません。目標のブレイクダウンはあったほうがいいけど、達成すべき目標を常に意識しないと近視眼的になってしまいますよね。

高野:「今日もスカウトを150通、送りました」みたいな話ばかりを聞くのは、その典型だと思います。スカウト150通自体は何も悪くないんですけどね。あとは上司がちゃんと目的を把握して、「スカウト150通も送らなくていいから」って言ってあげないといけない。

庄田:事業として何を目指すかという長期的な時間軸と、そのためにいまどうやって勝ち筋を作るのかという短期的な時間軸を行き来するということですね。

河合:これからの採用担当は、いろんなことを学ばなければならなくなると思っています。ビジネス上はもちろん、採用上でも戦う相手は変わりますし、今は様々なツールもありますし、採る人もどんどん変わっていく。それに対応するためには、事業内容をより深く知りやファイナンス、マーケティングやセールスのスキルセットを学んだり、用いたりすることも把握しなければなりません。


HERP代表取締役 庄田一郎

庄田:特に「事業を知らなければならない」というご指摘には、まさしく同意です。いまは注文に合わせて求人票を公開して、応募者を会社へつなぐだけの採用担当も多いですよね。

そうではなく、事業の現状を理解した上でKPIを回すためにどんな人材が必要なのかを考えることができれば、代替が利かない人材になるはずです。そのためにはいろんなツールを駆使しなければならないし、クリティカルなシンキング能力も欠かせません。

河合:経営に直結する上にトライアンドエラーをいくらでも追求できるので、負荷も大きいですが、その分すごく面白い仕事だと思います。採用担当という仕事の地位が、これからもっと上がっていけばいいですね。

文=野口直希 写真=小堀将生

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