世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版


リクルーティングには数字が用いられない

石黒:どこを効率化できるか、どこに本質的な時間を投下したらいいかは、採用活動において非常に悩ましいですよね。新卒も中途も同じですけど。

河合:私はプロ・リクルーター養成講座でワークショップをやっているのですが、超大手企業様や、ベンチャー企業様問わず、また役職問わず、採用に関わっている方々は、仕事の全体を可視化しづらいと仰っています。ワークショップを通してようやく、日頃たくさんの仕事をこなしていること、同時に削減できる作業もたくさんあることに気付かれますね。


ReBoost代表取締役社長 河合聡一郎

石黒:面白い。採用担当が自分の仕事を可視化できない、確かにそうですね。

河合:全体的に今、どのような仕事に取り組んでいるか、今、どのような部分が課題になっているかなど、あまり把握できてない。きちんと整理してみると、1日日程調整で終わったり、見送りメールを送るだけ終わったり……。

高野:すべての会社に当てはまるとは思いませんが、求人票を作成することにお金をかけている会社もあって、とにかく採用担当の仕事が回っていない会社が多い。

石黒:企業の募集要項を作るだけで1件につき約15万円を請求する会社もあると聞いたことがあります。その話を聞いたとき、驚くとともに、あらためて募集要項には価値があると再認識しました。

庄田:日本の求人票って、ほぼすべて更新されてないですからね。

石黒:更新されたとしても従業員数などの細かい数字だけ。間違ったことを書かないことよりも、熱意を込めて「このポジションはこう面白いよ」「未経験でも◯◯を学んでおけば、こんなことをやれますよ」とか、そういった候補者に寄り添った内容を書くことが大切なんですけどね。

庄田:求人票をどれだけ情熱的に仕上げるかが、人が脳を使って頑張るところだと思うんですよね。だからこそ、自分は「HERP」というサービスをつくったんです。更新した求人票の連携もエージェントさんへは結構後回しにしがち。リアルタイム連携しているかというと、そんなことはない。

高野:何かひとつ変更あったら、全部変わった方がいいですよね。

石黒:自分があまり好きではない応募者とのやり取りのひとつが、「まだこのポジション応募してますか?」というもの。ただ、これってそもそも求人票が更新されない、というコンセンサスが世の中に当たり前のようにあるからかも知れません。

高野:候補者をいざ連れていったら、ポジションがクローズしてる問題よく起こります。これはできるだけ起こらないほうが、会社、応募者、エージェントすべての関係者にとっていいですよね。

庄田:そうなんですよね。候補者が不利益を被ってるのはよくない。

石黒:結局、求人票が更新されないのも忙しさが原因だと思っていて。求人票を更新しなくも誰にも怒られない。でも、候補者へのメールは早く返さないと怒られる。「あの会社は誠実じゃない」というイメージを持たれてしまいますし。

緊急度と優先度の話で、みんな緊急度を大事にしてしまうんですよね。誰も優先度を大事にしない。

河合:それもあって、長期的な採用活動の基盤に対してまだまだ投資をしないんでしょうね。いま採用しなければいけないから、緊急度の高いものを優先してしまう。本当は採用は長い目で投資していかないと回収できないものなんですけど、その概念がまだまだこれからかなと感じます。

庄田:求人票が改善されない理由については、改善した結果が見えないことも理由のひとつとしてあると思っています。内容を変えたことによって、クリック率が何%上がったのか、画像を変えたらCTR(クリックスルーレート)がどれくらい変わったのかが全く分からないので、とりあえず自助努力としてやってる。

結局、採用担当も「やってあげている」くらいの感覚になってしまう。そこは見える化していかないと、やはり駄目だなと思います。

文=野口直希 写真=小堀将生

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい