ビジネス

2018.04.04

意思決定をデザインする メルカリの躍進を影で支えるデータ分析チーム

(左)BIチーム マネージャー 樫田光(右)国内版メルカリ プロダクト責任者 執行役員 伊豫健夫



国内版メルカリ プロダクト責任者 執行役員 伊豫健夫
 
メルカリは広い意味で「モノの売買を通じて個人がエンパワーメントされる」ことだと考えています。シェアサイクルサービスの「メルチャリ」は一見、メルカリとは何の関係もないように思えますが、この文脈で見れば移動手段を通じた個人のエンパワーメントだといえます。
 
そういう意味で、僕らが理想とするサービスはまだまだ実現できていません。例えば、メルチャリをメルカリと連携することで、より利便性をあげることもできるでしょうし、メルカリについても、洋服からエンタメまでいろんなカテゴリーの商品が出品されている中で、それぞれの個性に合わせて利便性を向上することだってできるはずです。
 
樫田:日本市場に関していうと、データ分析の面から見ていまのメルカリは、最高に面白い時期だと思っています。データ分析はサービスのフェーズによって、見るべき数字も異なりますし、取るべき意思決定の質も全く異なります。

大きな成長を遂げた「メルカリ」というサービスをさらに成長させるための分析の面白さもありますし、それこそメルチャリやメルペイのような新規事業フェーズの分析をする面白さも同時に存在しています。
 
データと論理を武器に、カオスを探検しよう

──活動領域も内容も多岐にわたっており、面白そうな一方で大変な面もたくさんあると思いますが、データアナリストとしてメルカリの環境を楽しめそうなのはどんな人ですか?
 
樫田:分析の技術などにこだわるよりは、事業やビジネスのマインドがある人がいいですね。先ほどもお話しした通り、多種多様な人がいる組織の中では、シャープな分析1つでスパッと何かを変えようと考えるよりは、「データを使ってみんなの意識を同じ方向に向けて、パワーを発揮しよう」と考えたほうが成果を発揮できます。

そのためにはビジネスのマインドが欠かせません。分析はあくまで手段という捉え方が重要です。
 
あとは、論理思考能力と周囲への説明能力です。「問題発見機」があってもそこから的外れな分析をしたら意味ないので、きちんとデータを読み取って納得させる説明をできなければなりません。数的な根拠をかざして的外れなことを言うアナリストや、正しいことを言っていても周囲が理解できないアナリストというのは危険ですからね。
 
伊豫:僕がメルカリのデータを見ていて思うのは、カオスが多いということです。メルカリは全てが個人のお客様だから、僕らがルールを設定してもそれを逸脱するケースがかなりあります。また、カスタマーサポートが言葉でサポートすることもサービスなので、数値として具体的に示しづらいカオスなデータが多いんです。
 
ここで仕事をするにはかなりの探究心というか、カオスなデータに興味を持って、そこから何らかの特徴を見つける力が必要です。情報分析には、ある程度前提条件がある中での分析と、ランダムな行動の中から何かの特徴を見つけ出すタイプの2つがあり、最近は少しずつ整理されてきているものの、やはりメルカリは後者のデータが多いんです。
 
樫田:教科書どおりではない分析手法が必要ですよね。とはいえ、社内のデータの仕組み自体はきちんと整備されてはいて、あとはそこからどうやって知見を出すかはアナリストの力量次第です。
 
伊豫:自分でルールを作れる人や、自分なりの流派をもっている人が向いていますね。BIチームはまだ少人数ですが、それぞれが流派をもっているように感じます。
 
樫田:もう一つ感じているのは、会社や事業としてカオスに対する耐性をもっておいた方がいいということです。カオスは言い過ぎかもしれませんが、事業の優先度や組織構造などが、成長フェーズに合わせて柔軟に変わっていくというのがメルカリの特徴です。またメルカリでは扱うデータの幅がとても広いです。日本市場でも今後1年の間で見るべき数字の粒度は全く異なっていくはずです。
 
先日、メルカリで100個以上出品したことがある人の数を調べたことがあるのですが、こんなにいるのかと驚きました。自分が持っている感覚はアテにならないのだな、と実感しました。

逆にそんなカオスだからこそ、感覚だけでなく論理とデータという武器を持って事業を運営していく事が重要なのだと思います。そんな未知の世界の分析を楽しめる人と一緒に、いろんなフィールドを探検していきたいですね。

文=野口直希 写真=小田駿一

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