リーダーシップに不可欠な「信用」を築く5つの方法

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3. 難しい決断から逃げない

万事順調な時は、経営も楽だ。ところが難しい決断を迫られた時は、そう単純にはいかない。私がかつて一緒に働いていたCEOは、社内にいた2人の極めて有能な後継者候補を1人に絞りきれずに、外部の人材紹介会社にその仕事を渡した。結局、社内事情をほとんど知らない外部の人間が就任することとなり、結果として会社に大きな混乱と損害をもたらした。これは全て、経営のトップが難しい決断に直面した時に、判断を避けたことが原因だ。経営者はまさにそのような決断をするために高額報酬を受け取っているのに。

4. 態度を一貫させる

従業員は、経営者の首尾一貫した態度に良い反応を示す。一方で、気まぐれな態度は、混乱をもたらす恐れがある。不安定な状況では、人は当然ながら自分が頼れるものを好む。もしあなたが従業員に頼られる存在だとすれば、それは周囲があなたの発言を信じており、あなたは信用できる人間だということ。単純な話だ。

5. 手本を示して導く

これもまた基本的なことであるが、たびたび疎かにされ、代わりとなるよい方法もない。リーダーが手本を示さない場合、つまり、口先だけで行動が伴わないと、モチベーションを上げるどころか人を遠ざけてしまう。前述の通り、従業員は経営者を注意深く観察している。もしも従業員たちに、経営者は自分勝手なルールに従って行動している、と結論付けられてしまえば、信用は失われる。経営者が厳格な原理原則に従っていると従業員が結論すれば、そこに信用が生まれる。

冒頭に挙げたコヴィー氏の「信頼のスピード」に戻ろう。彼は、ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイ社がかつて実行したウォルマートからの大規模買収の話を好んで引き合いに出す。これは230億ドル(約2兆4000万円)規模の買収案件で、通常であれば売り手と買い手が互いを信頼できず、値切り交渉に何か月もかかっただろう。ところが両社がいずれも高い信用を得ていたため、「1~2時間の会合で合意に至った」とコヴィーは書いている。「1か月も経たずに交渉は完結した。高い信用、高いスピード、低いコストをもって」

測り知れぬほど貴重なリーダーシップ資産である「信用」をもってすれば、あなたもこうしたことを実現できるのだ。

編集=遠藤宗生

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