数十年にわたる研究の結果からは、有能な人材をその他の普通の人材と隔てる重要な要素がEQだということが判明している。また、EQはチームの業績にも大きく影響する。ワシントン大学セントルイス校のヒラリー・エルフェンバイン教授(組織行動学)の研究は、EQの平均が高いチームの方が、低いチームよりもうまく機能することを発見した。
また同研究では、チームのパフォーマンスの差の40%は、各メンバーが互いの感情表現を理解できるかどうかによることも分かった。従来は個人で達成していた仕事も、現在では中央集合体(チーム)で団結して取り組むことが必要とされている。
しかし、チーム一丸となって働くのは楽ではない。人が集まれば自然と異なる経験や考え方が集まるため、チームの協働を促すようにメンバーをまとめ、士気を上げ、刺激を与えるのは、リーダーにとっての課題だ。人が集まっただけでは、チームにはなれない。
全てのチームの中核は関係性だ。これによりチームは良いものにもなるし、崩壊することもある。ここでは、EQの高いチームが持つ6つの特徴を紹介する。
1. 新メンバーに毎回ルールを説明する
既存のメンバーは、新たに加わるメンバーがチームの行動指針となる規則(暗黙の了解も含む)を理解していないことを認識している。そのため規則を説明・明確化し、今でもルールを維持することに果たして効果があるのかを改めて考える時間を取る。
2. 好奇心を通して深い関係を築く
EQの高いチームは好奇心を活用し、議論に集中したり意思決定に必要な情報を集めたり、互いの視点を理解したりする。人は自分の意見が聞き入れられていると感じれば、責任を持ってしっかり取り組むものだ。EQの高いチームはそのことを知っているので、正しい解決策を導く手段として質問を重ねる。
3. 心理的に安全な環境がある
心理的に安全な環境とは、間違っても罰を受けないと分かっている状態、心に浮かんだことを言葉にして現状に疑問を投げ掛けても安全だと分かっている状態だ。質問を重ねて学びを深めるほど意識が向上するため、心理的な安全が確保されていれば、EQが雪玉のように増幅する。これこそ、会社に画期的進化をもたらすチームの行動特性だ。