今は、良い企業で安定した職を得てから何十年も居座っているようではキャリアを築けない。昔は、一つの職業(さらには一つの企業)で何年も働くのは名誉なことだったが、今となってはどちらかというとマイナスだ。
一つの環境にとどまる期間が長ければ長いほど、新たなことに挑戦する筋肉は成長しにくくなる。キャリアを通し、自分の市場価値を高め能力を向上させるには、新たな環境で新たなスキルを学び続けなければならない。自営業を実際に始めるかどうかにかかわらず、誰もが起業家の思考法を身につける必要があるのもこうした理由からだ。
では、起業家の思考法とは具体的に何を指すのだろう? これには、キャリアを雇用主や運に任せず自分の立てた計画に従うこと、雇用主が設定した目標とは全く別の自分だけの目標を持つこと、自分が解決できる問題や、自分を雇用してくれそうな企業がそうした問題に費やしているコストを理解することなどが含まれる。
また、企業への自分のサービス提供を広い視点で見ることも必要だ。福利厚生付きのフルタイム社員としてしか働きたくない人は、人材市場で非常に不利な立場に置かれる。
起業家の思考法を身に付けるための最初の重要ステップは、自分をコンサルタントとして認識することだ。問題や解決策に関する深い知識を活用し、個人や企業の抱える特定の問題を解決すれば、自分をコンサルタントとして売り出せる。
現在のフルタイム職に満足している場合でも、自分専用の名刺を作り、勤務時間外でコンサルティングプロジェクトの受注を始めてはどうだろう? 会社に副業禁止の規則がある場合は、すぐに就職活動を始める良い理由となる。
ここでは、フルタイムの仕事に不満がなくても副業を始めるべき10の理由を紹介する。
1. 自分や自分の専門サービスを、顧客の視点から強制的に見ることになるから。適切な顧客のタイプや顧客の抱える問題、その解決策として提供できるものは何かを考えることができる。
2. 自分のサービスの価格を考えるため。1時間当たりのコンサルティング料金はいくらだろう。あなたのコンサルティングを活用することで顧客が期待できる投資利益率(ROI)はどう計算するのか?
3. 自己ブランドについて考えるため。自己ブランドは強力なもので、新人コンサルタントは必ずブランドについて考えなければならない。顧客にもたらす価値や仕事での振る舞い方、自分にとっての仕事の意義を自問しよう。こうした質問は全て、一考する価値のあるものだ。