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2018.04.01

世界で進む「肉食離れ」、ミレニアル世代がけん引

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一方、食肉の消費と環境への悪影響を関連付けるデータが増え続けるなか、この問題を懸念する人たちに対応するため、研究室でつくられた培養肉を大量市場に投入しようとする努力が続けられている。培養肉は、基本的には肉を食べることを完全にはやめたくないと考える人たちのための「クルエルティフリー」な(動物を殺していない)選択肢だ。

テクノロジー関連のスタートアップ(メンフィス・ミーツやモサ・ミートなど)は、2022年までにクルエルティフリーな培養肉を発売する計画を明らかにしている。ただ、世界市場に進出するためには、大幅なコスト削減を実現しなくてはならない。

問題は命に関わる

ベーコンやハムなどの加工肉とがん発症の関連性を世界保健機関(WHO)が明らかにしたとき、食品関連業界には衝撃が走った。医療機関はガイドラインを示し、より健康な食事の摂取の奨励に力を入れている。米最大の医療団体カイザー・パーマネンテと米がん研究協会は、心臓病や死因となり得るその他の一般的な病気の治療に向け、野菜中心の食事を推奨している。

また、米科学アカデミーによると、2016~2050年に世界の肉の消費量を減少させることができれば、年間およそ800万人の命を救うことも可能だと推計されている。さらに、医療費と気候変動によってもたらされるコスト合わせて31兆ドル(約3290兆円)を節約することが可能だと見込まれている。

米国の公的医療保険(高齢者向けのメディケアと低所得者向けのメディケイド)制度にかかる負担を、大幅に軽減できるかもしれない。そして、洪水や暴風雨、干ばつの被害に関連して発生し得る多額のコストも削減できるかもしれない。

編集=木内涼子

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