味気ない広告はバフェットのせい? 企業買収が代理店に与える打撃

バークシャー・ハサウェイ会長兼CEO、ウォーレン・バフェット(Krista Kennell / Shutterstock.com)


米広告業界への影響は甚大だ。ゼロベース予算編成や、プレシジョンターゲティング、指定広告会社(AOR)への割り当て方式からプロジェクトベースへの移行などの予算削減方法により、広告代理店の成長が阻まれ、優秀な人材が得にくくなっている。

私たちはいまだに、リーマンショック後のリスク回避の環境におり、その風潮は3Gやバフェット、そして「物言う株主」ネルソン・ペルツのP&G取締役就任により増幅している。広告主は業績維持のためコストを削減し、利益を積み上げ、社内の活動を増やしている。

代理店は、昨年の株価急落にも見える通り、苦しみ続けている。米広告業界の混乱は、バークシャー・ハサウェイと3Gキャピタルによる蝶の羽ばたきから始まり、マーケティングのエコシステムで独自のバタフライ効果が生まれたことが原因だと言える。

広告、特に良質な広告はリスクをいとわない環境で繁栄する。恐怖心から手に汗握り、心臓の鼓動が早まるような環境だ。素晴らしい広告はギリギリの場所に存在する。予想できないもの、驚きでショッキングで、独創性のあるものだ。

素晴らしい広告は、もはやぜいたく品ではなくなった。現在の注意欠陥型経済では、メディアが断片化し、人々とつながることが難しい。またメディアは、あっという間に広告を変えてしまうこともできる。リスクを取ることは甘やかしでもぜいたくでもない。市場に参入し、競争力を維持するために払わなければならない代償だ。この時代に必要とされるのは、大きな肝っ玉だ。

編集=遠藤宗生

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