ビジネス

2018.04.02 11:30

最高人事責任者「CHRO」に必要な視座と視野


一方で、人事は自社組織の内実についての視座や思考も持ち合わせていなければならない。目指す状態を「ありたい姿」と置き、「現状」が正しく把握できた際に、そこにギャップと方向性が生じる。これを「問題」と定義できるが、逆に「ありたい姿」や「現状」が曖昧であれば、「問題」や取り組むべき課題も曖昧となってしまう。

つまり、組織(すなわち人材)自体が自分たちの「ありたい姿」や「現状」を認識してなければ、方向性も問題も曖昧になってしまうし、人事が丁寧に社内発信できていなかったり、現場を把握できていないままに人事の諸施策を進めたりするとおかしなことになってしまう。それを防ぐためにも、特に「現場のリアル」については、具体的な言動やその背景を人事が肌感覚で持っておきたい。

まとめると、CHROの持つべき視点は、「外部・内部」×「俯瞰・現状」のマトリクスで表現できる。外部×俯瞰の「社会環境認識」、外部×現状の「自社の状況」、内部×俯瞰の「ありたい姿」、内部×現状の「現場のリアル」の4象限である。“真に強い”経営を推進する経営者は、同じくこの4点を抑えたうえで経営戦略・事業推進を語り、その実現に際する人の重要性を語っている。

筆者がかつて在籍したソフトバンクグループでは新卒向けに代表の孫正義氏が語る「ライブ」を行っているが、「一年で一番重要なプレゼンテーション」と語っていたことが思い起こされる。

「人」は最も経営にとって大きなインパクトを与える可能性を持っている。その「リソース」に責任を負うCHROだからこそ、外部と内部、経営の視座と現場の視座を行き来し、考えられるバランスが必要になる。

連載:人事2.0 ──HRが作る会社のデザイン
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文=堀尾 司

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