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決して完璧ではないが、アベノミクスはいままででベストの経済政策だ。日本経済を知り尽くす敏腕エコノミストが、そう評価する理由とは。

 私は、いわゆる「アベノミクス」路線は高く評価されて然るべきだ、と考えている。とりわけ、「第1の矢」と「第2の矢」を使って「デフレから脱却する」という明確なメッセージを発信した点がよい。そのうえで、「第3 の矢」である構造改革を通じて、日本の実質成長率の引き上げを図る―。これは、極めて賢明な政策である。(中略)

「日本人投資家」に期待すること
 つまり、第3の矢はとてもハードルが高い。とはいえ、潜在成長率を引き上げる方法がないわけではない。大別して、次の2通りが考えられる。
 まず1つ目は、労働市場人口の減少に真正面から取り組むこと。ただ、全体のパイが縮小しているのだから、たんに女性や高齢者の労働市場参加比率を引き上げるだけではダメだ。

 女性の労働市場参加比率を引き上げる余地はあるが、出生率が低いままなら、効果は上がらないだろう。やはり、出生率が上がるような環境づくりが求められる。

 女性の市場参加に関していえば、税制や経済政策、社会習慣など、さまざまな面から取り組む余地がある。例えば、海外では夫婦が1つの銀行口座を共有することができる。これは世界では常識だ。こうした制度を是正するだけで、女性の置かれている立場はガラリと変わるのではないか。

 2つ目の方法は、「第3の矢」にも含まれているが、「移民」である。例えば、高齢者や子供の介護などをしてくれる、家政婦などの外国人労働者を海外から受け入れることで、女性はキャリアをもちつつ、子供を育てることができる。制度をきちんと整備したうえで、日本の国益に適かなった形での移民政策に取り組むべきだろう。第3の矢は時間がかかる政策であるうえに、世の中の期待値はとても高い。それゆえに批判も少なくない。しかし、「第3の矢には何もない」という一部の批判は当たらない。できることは多いが、まだ焦点がぼんやりとしているのだ。だからこそ、まずは正しいポリシーミックスを見つけ、着実に実行することが重要になる。

 いまの株式市場は、外国人投資家の買いで上昇している。20年間続いた日本のデフレが本当に終わるときとは、日本人のメンタル面が変わるときだ。資産デフレと一般物価のデフレの環境のなかで、日本人には「現金のほうがいい」という考えが染み付いてしまっている。

 だが、これから雲間からちょっとだけ日が差すだろう。デフレから脱却しさえすれば、日本にはきっといいことがある。例えば、テクノロジー。そして、ソーシャルキャピタル(社会的資本)。教育水準や信頼性、社会秩序……。日本人がもつきめ細やかさ、質のいいものを追求する姿勢。枚挙に暇いとまがないほどの利点がある。
(以下略、)

フォーブス ジャパン編集部 = インタビュー

 

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