SF Motors創業者のJohn Zhangは、中国の小型トラック・メーカー「重慶小康工業集団(Chongqing Sokon Industry Group)」を経営する一家の出身だ。SF MotorsのEV車両は1回の充電で約480キロの走行が可能だという。
同社が発表したのは「SF5」と「SF7 SUV」の2車種。外観のデザインはカリフォルニアで行われ、インテリアはドイツのパートナー企業が手がけたという。「停止状態から3秒以下で時速60マイル(約96キロ)に到達する加速性能を持つ。これは特筆すべきスペックだ」とZhangは誇らしげに話す。
SF5の予約注文は今年の後半に始まり、2019年に納車開始の予定だ。Zhangによると基本モデルは5万ドル以下で発売する計画だという。
SF MotorsのEV車両は安全性の高い自動運転の実現を目指し、様々なコネクティッド機能を備えるという。EV関連では「ファラデー・フューチャー(Faraday Future)」や「NIO」など、数多くの中国企業がカリフォルニアに進出を果たしている。
しかし、SF Motorsの強みは親会社が中国の大手というだけでなく、R&Dやデザインの拠点を米国や中国、ドイツや日本にも置いている事だ。同社は2017年に、米国の自動車メーカー「AMゼネラル」のインディアナ州の工場を買収した。
その工場ではかつてSUV車両のハマーや、メルセデスの軽量トラックなどが製造されていた。SF Motorsは今年の第3四半期までに設備を刷新し、年間5万台の製造を可能にするという。
同社は中国の重慶市の工場も製造拠点として確保しており、そこでは年間15万台が製造可能だ。つまり、新興メーカーにも関わらず年間20万台の製造が可能ということになる。2つの工場ではEV車両だけでなく、バッテリーパックの製造も行う。
SF Motorsはマーティン・エバーハードの協力を受けて開発した「Model Y」と呼ばれる車両を2020年に発売する計画だ。エバーハードは2003年にテスラを創業したが、2007年にイーロン・マスクにより同社を追放されていた。
同社は昨年、エバーハードのバッテリー企業「Inevit Inc」を買収し、彼をイノベーション主任として迎え入れた。
しかし、SF Motorsの前途には、トランプ政権による中国との貿易規制の壁が立ちはだかることになるのかもしれない。Zhangその懸念について次のように述べた。
「我々は米国と中国の両方に工場を持つ唯一のEVメーカーだ。規制に関する問題はなるべく早い時期に、ゆるやかな着地を迎えることを望んでいる」