金正恩の覚悟とトランプの虚栄心で米朝会談は成功するのか?

Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images


翻って、米国と北朝鮮はどうか。両国の権限ある外交当局者が水面下で真剣に直接交渉した跡はうかがえず、これまでのプロセスは韓国の文在寅大統領がすべてお膳立てしたものだ。トランプ政権には結束力もない。米側で北朝鮮との実務交渉を担う人物が見当たらないだけでなく、政権の外交・安保の柱となるティラーソン国務長官とマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)が相次いで解任された。
 
後任の国務長官にはポンペオ中央情報局(CIA)長官、大統領補佐官にはボルトン元国連大使がそれぞれ起用されたが、ポンペオ氏はイラン核合意からの離脱を提唱し、ボルトン氏は北朝鮮への先制攻撃も辞さないと表明している。金委員長はトランプ大統領の言葉の何を信用できるのだろうか。

北朝鮮にとって「日本は100年の敵。中国は1000年の敵」(北朝鮮関係者)と言われる。金委員長は「初外遊」というカードを切って中国を後ろ盾とし、覚悟の程を示した。トランプ大統領が強大な軍事力を背景として、高圧的に非核化を迫るだけなら、韓国や中国の協力が軸となる国際包囲網は破綻をきたし、歴代大統領のように失敗を繰り返すことになりかねない。

連載:ニュースワイヤーの一本
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文=水本達也

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