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2018.03.27 17:30

テスラ株の下落基調、示すのは「タイムリミット」の接近か

Aleksei Potov / Shutterstock.com

電気自動車(EV)メーカー、米テスラの株価は2月末から3月23日までに15%近く下落し、ロングポジションを取る投資家たちを不安にさせている。そして、この間のテスラ株のボラティリティは強気の投資家たちに、同社に関する一貫した主張を続けることを難しくしている。

こうした状況が示すのは、テスラとその最高経営責任者(CEO)、イーロン・マスクが直面する喫緊の課題だ。

テスラの今後の見通しに関する強気の見方は、同社がバッテリー電気自動車(BEV)と自動運転車(AV)が普及した将来の世界市場を支配するという考えに基づいている。だが、その主張の問題点は、同社が「すでに」BEVの世界市場において支配的な立場にあり、それでも昨年の現金燃焼(フリーキャッシュフローの赤字幅)が、およそ35億ドル(約3695億円)に上ったということだ。

テスラ「モデルS」は、現世代の自動車の中で最も重要なものだ。そして(これまでのところは)、間違いなく世紀の車だ。だが、こうしたことがテスラの株主にもたらしたものは何だろうか──実質的な経済的利益という点から言えば、何もない。

そうなる理由は単純だ。テスラは単純に、このモデルを量産することができていない。そして、マスクが今年半ばまでに実現を目指すとする週当たり2500台の生産は、アナリストとして11年にわたって自動車業界に関わってきた筆者の知人の誰もが、さらには同モデルの部品を供給するサプライヤーさえもが、真剣には受け止めていない。

テスラの今後について強気の見方を維持する投資家たちは、同社が最終的にはモデル3の量産を実現すると見ている。一方、弱気な見方をする人たちの主張は、一語で言い表される。その実現は「いつなのか?」だ。

テスラは昨年8月、総額18億ドルの普通社債を発行した。だが、社債の発行は非常に大きな誤りだった。発行時には5.3%だった利回りは、6.65%に上昇している。2013年に発行し、今年6月が償還期限となる転換社債は利率が1.5%、転換価額は124ドルだ。盲目的に同社を信じる人が多数に上るテスラはなぜ、転換社債の発行を続けないのだろうか。

考えられる唯一の合理的な理由は、同社の筆頭株主であるマスクが、株式の希薄化を望んでいないということだ。だが、テスラはすぐにも、株式市場で追加的な措置を講じる必要がある。株価の下落により、同社が適切な金額を調達するために必要な発行株数は、1か月前より多くなっている。これは、同社株のさらなる希薄化を意味する。テスラにとって、これは悪循環だ。だが、少なくとも20億ドルを調達することができなければ、来年には債務の返済が不可能になるだろう。

つまり、時間はテスラとマスクにとって、最も重要な点だ。マスクは男のプライドを飲み込み、株価が下落することにはなっても、株式を発行する必要がある。向こう3か月の間に資金を調達できなければ、同社がビジネスパートナーに対し、自らが存続可能な企業であると納得させることは一層難しくなるだろう。

筆者の考えでは、新たな資金調達が行われない場合に最も起こり得ることは、同社が1年以内に消滅する事態だ。テスラの株主は、その現実的な可能性にも備えておくべきだ。ぞっとするような見通しだが、およそ500億ドルに上った時価総額は、まだ同社の株価に反映されていない。

編集=木内涼子

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