ビットコインで「身代金」要求、米アトランタのサイバー攻撃

(Photo by S3studio/Getty Images)

3月22日の朝、米アトランタ市の自治体のコンピューターネットワークがダウンした。その後、ケイシャ・ランス・ボトムズ(Keisha Lance Bottoms)市長が記者会見を開き、ランサムウェア(身代金ウィルス)による攻撃を受けたことを発表した。

調査担当者によると1台の脆弱なサーバーが感染したのを皮切りに、ランサムウェアがネットワーク上にあるデスクトップコンピューターに広がり、端末がロックされたという。サイバー犯罪者は"身代金"として6ビットコインを要求している。これは約5万1000ドル(約540万円)に相当する額だ。

市によると現在、納税情報や法廷関連の情報へのアクセスが不能になっているという。水道などの、ただちに市民の安全に関わるインフラへの影響はないという。北米で最も忙しい空港とされるアトランタ国際空港にも影響はなかった。

アトランタ市のITチームはFBIや国土安全保障省、マイクロソフト、シスコと共にランサムウェアによって暗号化されたファイルを調査している段階だ。身代金の支払いに関して、ボトムズ市長は記者会見で「現状では話せる段階ではない」と述べた。「捜査機関のアドバイスに従い、最善の手段を尽くしていく」と市長は話した。

2月に同様なランサムウェアの攻撃にあったコロラド州運輸局は身代金を支払わなかった。ボトムズ市長によると市役所は通常通り業務を行う。しかし、市と取引のある個人や企業にも被害が及ぶ可能性があり、銀行口座を注視するよう呼び掛けた。

地元テレビ局の「11Alive」の報道によると、身代金を要求する文書はランサムウェア「SAMSAM」のものに似ているという。「SAMSAM」は古いバージョンの「JBoss」アプリケーションサーバーを走らせているコンピューターをターゲットにする。

SAMSAMは「Samsa」とも呼ばれ、一般的には自治体やヘルスケアなどのセクターを標的にする。これまでニューメキシコ州ファーミントン市とインディアナ州の2か所の病院がSAMSAM攻撃の標的となっていた。

事件発生から4日が経った26日になっても、アトランタ市と対策チームはまだ問題を解決できていない模様だ。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事