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2018.03.28

ウーバー、死亡事故で問われる責任と「LiDARメーカー」の立場

車両に搭載されていたLiDAEメーカーの「ベロダイン」 (Photo by David Becker/Getty Images)


LiDARが判断を下すわけではない

「当社のLiDARは、今回の事故が起きた状況下でも歩行者や自転車を鮮明に画像化できる能力を持っている。しかし、LiDARがブレーキを掛けたり、通行人を避ける判断を下す訳ではない。事故を起こした車両にどのようなセンサーが搭載され、それらがどのように使われ、きちんと機能していたかについて我々は把握していない」とHallは述べている。Hallは、ベロダインの創業者兼CEOであるDavid Hallの妻だ。

自動運転車のメーカーは、それぞれが独自のソフトウェアを開発している。先日、和解が成立したウェイモとウーバーの企業秘密を巡る裁判が示す通り、こうしたソフトウェアは各社にとってトップシークレットとなっている。

ウーバーはベロダインの顧客だが、「ウーバーのシステムについて我々は何も知らない。我々の他の顧客についても同様だ」とHallは話す。

地元テレビ局の記者によると、国家運輸安全委員会は3月22日夜、衝突現場にHerzbergの自転車を置き、事故を起こした車両を使って当時の状況を再現したという。また、「AZFamily.com」によると、Herzbergの娘は傷害訴訟を専門とする弁護士事務所と契約したという。

「アリゾナ州は、ウーバーのような企業に営業許可を与えることで先端テクノロジーやシェアリング・エコノミーの先頭を走ることを期待したのだろう。自動運転車の事故責任については従来の法解釈が変わる可能性があり、専門家の間では業界が抱える法的課題について議論が起きている」

ウーバーに対し、事故を起こした車両がベロダイン製のLiDARを搭載していたか、また同社と技術提携をしているか問い合わせたが、回答を得ることはできなかった。

「今回の事故で人命が奪われたことをとても悲しく思う。我々は事故原因がLiDARではなく、他のトラブルにあると考えている」とベロダインの創業者兼CEOのDavid Hallは述べている。

編集=上田裕資

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