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2018.03.28

ウーバー、死亡事故で問われる責任と「LiDARメーカー」の立場

車両に搭載されていたLiDAEメーカーの「ベロダイン」 (Photo by David Becker/Getty Images)

3月18日、ウーバーの自動運転車がアリゾナ州テンピで夜間走行中に、自転車を引きながら道路を横断していた女性をはねて死亡させた。現在、連邦機関が事故原因を捜査している。車両に搭載されていたLiDARのメーカー「ベロダイン(Velodyne)」は、「困惑している」とコメントしている。

ベロダインは、自動運転車向けLiDARのトップメーカーだ。同社によると、今回の事故を起こしたボルボのSUV「XC90」には、同社製のLiDARが搭載されていたという。現在、国家運輸安全委員会(National Transportation Safety Board、NTSB)のチームがElaine Herzberg(49)が死亡した事故の原因を捜査しているが、ベロダインは現地にスタッフを派遣していない。

ベロダインのプレジデントで事業開発責任者のMarta Hallは、フォーブスの取材に対し次のように述べている。

「私たちは非常に困惑している。現在、国家運輸安全委員会と国家道路交通安全局の捜査に協力している。まだ当社のエンジニアを現地に派遣していないが、要請があれば積極的に協力したい」

米国では毎日100名余りが交通事故で死亡しているが、自動運転車に轢かれて死亡したのは、Herzbergが初めてのケースとなる。現段階では、事故原因がセンサーやソフトウェアの故障か、コンピュータのトラブルによるものかは不明だ。

地元警察が公開した事故車両の車載カメラ映像を見ると、自動運転車はHerzbergを認識しておらず、避けようともしていないことから、システム故障が原因でないかと推測される。また、システムにトラブルがあった場合に操作を行うはずの人間のドライバーは、衝突直前まで前方を見ていなかったようだ。

LiDARとは、light、detection、rangingの頭字語で、パルス状に照射したレーザーによって約30メートル先まで3Dマップ化できるテクノロジーだ。カメラや人間の目では見えない夜間でも、人や物体、動物、木、他の車両などを検知することができる。ウーバーの自動運転車はレーダーや複数のカメラを使ってHerzbergの自転車を遠距離から検知できるはずだった。
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編集=上田裕資

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