Plug and Playは、シリコンバレーに本社がある2006年創業の会社。世界11ヶ国26拠点でスタートアップの支援を行なっており、支援先企業は2000社以上、資金調達総額は60億ドルを超えます。投資部門であるPlug and Play Venturesは1998年から投資活動をしており、多くの企業の支援をしてきました。
ペイパル、ドロップボックス、そしてレンディングクラブなど日本でも名前を聞いたことがある、グローバルにビジネスを展開するユニコーン企業も投資先です。
さて、転職といえば私が新卒で入った会社、キャリアデザインセンターが当時発行していた雑誌「type」の表紙に、こんなコピーがありました。
『35歳。転職すべきか、とどまるべきか』
当時の私にはとても衝撃的なコピーで、35歳で市場価値は決まり、以降は転職の機会はグッと減る、いわゆる「35歳限界説」を初めて知った機会でした。
あまり計画的なタイプではないので、「35歳までにこんなキャリアプランを描いて、だからこんなスキルを身につけなければいけない」ということをしっかり考えていたわけではありませんが、頭の片隅からこの「35歳限界説」がなくなることはありませんでした。35歳までは。
キャリアデザインセンター、グーグルと営業一辺倒だったキャリアから、お金のデザインでマーケティングとPRにキャリアチェンジしたのは36歳。そしてPlug and Play Japanに転職した現在、私は38歳。そう、「35歳限界説」なんてこの3年間、私はすっかり忘れていたのです。
では転職市場の今は、どうなのでしょうか。
パーソルキャリアが、DODAエージェントサービスの直近のデータを用いて定期的に発表している「転職求人倍率レポート」で、2018年2月度は、求人数が前年同月比113.6%、転職希望者数が前年同月比106.8%と、活発な採用活動が行われていることがわかります。転職希望者の伸びよりも求人数の伸びが大きいですから、売り手市場の度合いが強まっていることがわかります。
企業もとにかく人が必要となると、必然的に、年齢制限が緩くなります。また、中途半端な経験とスキルしかなく転職市場で売れ残っている人よりも、キャリアを積んだベテランを欲しがる企業も増えてくるでしょう。
総務省統計局が出している「年齢階級別転職者数及び転職者比率」では、2012年から17年まで6年間のデータが公開されています。その推移を見てみましょう。
転職数の総数は、2012年の286万人から2017年は311万人と全体では25万人増えています。それを年齢別にみると、最も転職市場で"売れる"とされてきた25〜34歳は実は2万人の減少、一方、35歳限界説を超える35歳〜44歳が2万人の増加。驚きなのは、これまでだったら転職市場では見向きもされないと言われてきたはずの45歳〜54歳が10万人も増加、さらに、55歳〜64歳でも4万人、65歳以上も5万人も増加しているのです。
35歳どころか、転職に年齢の限界など存在しなくなっているかのようです。
『35歳。転職すべきか、とどまるべきか』
あなたに新天地で働く意欲と元気があるのなら……どう考えますか。
終身雇用制度の終わりとともに、いわゆるゼネラリストと呼ばれる「プロサラリーマン」の育成から、プロフェッショナルの育成へと、少しずつ社会も変わってきています。一つの企業内でしか通用しないものさしから、開かれたマーケットで様々なものさしでキャリアを話し考える社会へ。それも一つの"選択肢"なのではないでしょうか。