ビジネス

2018.04.02

ドバイで気づいた「ゼロスタート」のまちづくり

ドバイの街並み


マイナスからではなく、ゼロからのスタート

砂漠しかなかったドバイは、ここ20年足らずで、金融、貿易、観光の都市となりました。

金融街やビジネス街は、観光客が行くような場所からは少し離れていて、独特の雰囲気を漂わせています。幹線道路はもちろん、街中の道路や建物などもとても整然と配置されており、きちんと区画整備ができています。これは、国が全ての都市計画を行っているからで、世界中から建築士や都市計画のスペシャリストが、ここドバイに集っているからです。

何もなかったところから街をつくる。絶対楽しいですよね。これは私たちの地域活性化とは異なり、マイナスからではなく、あくまで未来志向のゼロからのプロジェクトだったのです。ドバイの人たちは、世界各地の最先端技術を取り入れて、あのきらびやかな都市をつくってきたのです。しかも、2020年に開催される「ドバイ国際博覧会」に向けてますますホテルやマンションも建設ラッシュです。

ゼロからスタートしたこの街がどのように変わっていくのか、今後も楽しみです。ものごころがついた時は、すでに高度経済成長は過去のものになっていたのでわかりませんが、高度経済成長期の東京も、このような感じだったのかなと思いました。

もちろん、いまでも東京はキラキラしていてわくわくする街に違いありません。テレビで見ていても、新しいお店がオープンしたり、おしゃれな商業ビルがオープンしたり……地方の人間から見ると、まだまだ発展しているように思えます。

私も、かつて都会で働いてみたいと鯖江市を離れ、東京で仕事をしていました。東京にいる時から鯖江市地域活性化プランコンテストを開催していましたが、鯖江に戻る時は不安しかありませんでした。「帰ったら毎日がつまらなくなってしまうのではないか」と、同郷でいまは一緒に地域活動をしているjig.jpの福野泰介社長に相談したところ、「つまらなかったら自分でつくればいいじゃないですか」と助言を受けました。その瞬間に、不安がわくわくに変わったのを覚えています。鯖江は私の「遊び場」になりました。

さて、鯖江市地域活性化プランコンテストでは、冒頭でも触れたように、これまで課題解決型のプランばかりが出てきました。ドバイで、未来に向かって創造し続けるプラスの雰囲気を体感したことで、なぜ課題解決型ばかりのプランが出てくるのかがわかりました。私自身が、大人たちが作ってきた鯖江(課題)を学生たちに押し付け過ぎてしまい、せっかくの若いプラスのエネルギーをマイナスにしてしまっていたのだと。

これまで10年間開催してきた鯖江市地域活性化プランコンテストは、11年目の今年、ガラリとやり方を変え、未来創造型のコンテストにします。全国の大学生が対象でしたが、地元の中高生も仲間に入れ、一緒に理想の街やつくりたい未来の鯖江市を創造してもらいます。

課題解決型から未来創造型へ。マイナスからではなく、ゼロの地点に立って新しく考えるものへ。自分たちの地域を自分たちがゼロから新しくつくるという最高に楽しい遊びに目覚めてもらいたい。鯖江を遊び場に変えるコンテスト、つくります。

連載:変革は地方から始まる!
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文=竹部美樹

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