ビジネス

2018.03.27

乳ガンを克服後、100億円を調達した米女性投資家の野望

KieferPix / shutterstock

2017年8月、「イーベイ(eBay)」創業者のピエール・オミダイアとのミーティングを1週間後に控えたShripriya Maheshは、医師から乳ガンの宣告を受けた。

Maheshはオミダイアが運営するベンチャーキャピタル「Omidyar Network(オミダイア・ネットワーク)」に対し、ヘルスケアやウェルビーイング領域を投資対象とする、新たなベンチャーキャピタルの設立を提案しようと思っていた。しかし、乳ガンの宣告を受けたMaheshは当面の間、治療に専念しすることにした。

「ガン宣告を受けたことで自分の健康や、家族や友人とのつながり、残された時間の中で何ができるかを考える時間ができた。その間に、新たなプロジェクトに向けた自分の意思を明確にすることができた」とMaheshは話す。

それから1年が経ち、化学療法や手術を経てMaheshはガンを克服した。彼女は先日、Omidyar Networkから1億ドル(約105億円)の資金を調達し「Spero Ventures」を設立した。

Spero VenturesはOmidyar Networkを唯一のパートナーとするファンドで、13の営利プロジェクトを運営する。主にシリーズAやシードラウンドの企業を投資対象とし、社会的インパクトを与える規模にスケールさせていく意向だ。

MaheshによるとSpero Venturesは既存のベンチャーキャピタルとは違い、長期的なスタンスで出資を行い、我慢強く企業の成長を支援していくという。パートナーをOmidyar Networkの1社に絞ったことで、それが可能になったという。ただし、Omidyar Networkとは独立したファンドとして運営することで、迅速な投資判断を可能にしている。

Maheshは今後、エアビーアンドビーやテスラやeBayに匹敵するスケールの企業の育成を目指している。かつてイーベイに勤務した彼女はプロダクトチームを率いた後、ニューヨーク大学で映画製作を学んだ経験もある。

Spero Venturesの設立メンバーには彼女のイーベイ時代の同僚のRob Veresも参加している。

創立11年のOmidyar Networkはこれまで約12億ドル(約1260億円)の資金を、営利目的や非営利目的の企業らに注いできた。MaheshはSpero Venturesのミッションを、「社会的インパクトと収益性を両立する企業を支援していくこと」としている。

「収益性を念頭に置くという点では、私たちも他のベンチャーキャピタルと変わりはない。同じ業界の仲間とともに未来を切り拓いていきたい」とMaheshは話した。

編集=上田裕資

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