ビジネス

2018.03.26 15:00

ソフトバンクが560億円注ぐ米食事宅配「DoorDash」の拡大戦略

DoorDashのCEO Tony Xu(Photo by Noam Galai/Getty Images for TechCrunch)

DoorDashのCEO Tony Xu(Photo by Noam Galai/Getty Images for TechCrunch)

3月1日、ソフトバンクが主導する資金調達ラウンドで、5億3500万ドル(約560億円)を調達し注目を浴びたのが、米国のフードデリバリー企業の「DoorDash(ドアダッシュ)」だ。関係筋によるとDoorDashの企業価値は14億ドル(約1470億円)と算定され、シリコンバレーの新たなユニコーンの仲間入りを果たした。

「この分野の企業の将来性は、まだ見通しが不確かなのが実情だ。しかし、我が社はこの分野の数少ない勝者への道を歩んでいる」と、DoorDashのCEOのTony Xuは述べた。

フードデリバリー市場は競争が激化する一方で、大きな成長が見込まれている。「モルガン・スタンレー・リサーチ」は、2020年には既存のレストランの売上の40%が宅配からもたらされるようになると見込み、市場規模は2200億ドルにも達することになる。この分野の市場規模は現状で300億ドル程度とされている。

2013年に創業のDoorDashが前回の資金調達までに調達した資金は1億7000万ドルだった。競合の「Postmates」の累計資金調達額は2億7800万ドルに達しており、ウーバー傘下の「UberEats」や決済企業スクエア傘下の「Caviar(キャビア)」といったライバルもいる。

DoorDashのXuによると同社は昨年、配達件数を2倍に伸ばし黒字化への道も見えてきたという。現状で米国の600都市で運営中の同社は、年内に1800都市にオペレーションを拡大し、250名を新規雇用するという。

「DoorDashは現在、これまでにないペースで業績を伸ばしている。調達資金により、成長スピードをさらに加速させていきたい」とXuはフォーブスの取材に述べた。同社は新規に立ち上げた「DoorDash Drive」部門を強化し、既存のプラットフォームをあらゆる物流の基盤に拡大しようとしている。

ただし、事業の多角化に挑戦して失敗した競合もいる。ウーバーはUberEatsの次に、一般の配送サービス「UberRush」を始動したが2017年4月に撤退し、フードデリバリーのみに注力する決断を下している。

しかし、DoorDashによると同社の一般配送サービスは14ヶ月で1300%の成長を記録しており、Xuは強気のスタンスを崩さない。「調達資金によりフードデリバリー以外の分野にさらに注力する」と彼は述べた。

14億ドルという企業価値を正当化するためにも、同社がDoorDash Drive事業を強化するのは必然の流れといそうだ。

編集=上田裕資

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