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2018.03.26 12:00

全米に広まる「大学無償化」の動きとその課題


ボルティモア市のキャサリン・ピュー市長は昨年、同市立コミュニティーカレッジの授業料を無料にするという同様の計画を発表しているが、この計画では世帯所得やGPAに関する制限は設けられなかった。

米国で最も気前のよいプログラムを提供しているのは、サンフランシスコ市かもしれない。同市では、経済的な必要性を証明できる住民であれば、高校卒業年度や成績に関係なく誰でも市立カレッジの授業料が免除される。

これに対し、昨年導入されたニューヨークの「エクセルシオール奨学金」は、カレッジ無償化プログラムとして売り込まれたものの、カメネツの提案と同様にさまざまな条件が設けられている。学生は卒業後、奨学金の受給年数と同期間、ニューヨーク州で居住・就労しなければならない。この要件を満たせない場合、奨学金はローンに変わる。

さらに、奨学生資格の保持には年間30単位を取得する必要がある。これは、奨学金では賄えない生活費を稼ぐ必要がある学生にとっては厳しい条件だ。エクセルシオール奨学金は2年制、4年制両方の大学生に開かれているが、これまでのデータを見る限り、コミュニティーカレッジの学生はほとんど利用していない。

恩恵が得られる人の数が限られているにもかかわらず、ボルティモア郡議会の議員らはカメネツの提案に乗り気だ。同議会のジュリアン・ジョーンズ議長はボルティモア・サン紙に「これは人々の人生を変えるものだ」と説明。「良い予算の使い方だと思っている」と語った。

編集=遠藤宗生

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