WRXワゴンが復帰か、スバルのヴィジヴ・ツアラーの真相

スバル、ヴィジヴ・ツアラー・コンセプト

これはWRXワゴンの再解釈だろうか? 迫力満点のブリスターフェンダーと鋭いエッジが効いた格好いいボディは、ちょうどレヴォーグとアウトバックの中間に当たるサイズだからこそ、再解釈と言えるかもしれない。

今月のジュネーブ・モーター・ショーで発表されたスバルのヴィジヴ・ツアラー・コンセプトは、昨年の東京モーターショーで初公開された超マッチョなヴィジヴ・パフォーマンス・クープから大きなデザインヒントを受けている。

でも、この新ヴィジヴの話をする前に、一つ説明しなければならないことがある。スバルが独自に使用する「ツアラー」と言うネーミングは、実は「ワゴン」を意味する。 国内外で調べたところ、スバルが「ツアラー」と呼んでも、どのメディアも「ワゴン」とか「ハッチバック」としている。ツアラーはピンとこないからね。それはそうとして、今回のヴィジヴは実は、2013年に遡って、7台めのヴィジヴのコンセプトに当たる。そんな「ヴィジヴ」シリーズから量産車のデザインに全くのフィードバックが見られない読者のために、少し良い話をお届けしよう。

今回のコンセプトは今年、北米で導入される8人乗りSUVのアセントに多少影響を与えている。良く見ると、アセントのCの形をしたヘッドライトは、ヴィジヴ・ツアラーのヘッドライトの形を生かしながら、少し地味なデザインに変えている。六角形のグリルのデザインもそうだし、アセントではヴィジヴのノーズのエッジを抑え気味にしている。

でも、正直なところ、全世界が高く評価する格好良いコンセプトカーのスタイリングは量産車の段階に達したときに、スバルは水割りみたいに外観のインパクトを薄くしてしまう癖がある。2013年のニューヨーク・モーターショーで発表された迫力110%のWRXコンセプトは翌年に発売された時に、普通っぽく平凡なデザインとして登場した。それがいい例だ。だから、眼を楽しませるヴィジヴ・ツアラーの筋肉質な美しいボディのエッジと面がどの程度生き残れるかはわからない。



さて、ヴィジヴ・ツアラーとは何者なのか? スバルからはスペックについてほとんど情報が入らない中で、一人の開発スタッフが明かしてくれたのは、スバル・グローバル・プラットフォーム、4WD、ターボ付きボクサーエンジンが搭載される、ということだ。しかし、スバルのスポーツ・エンジンが重要視しているほど、ハイブリッドのユニットのオプションも必ず加わるだろう。

今年50周年を迎える米国スバルから見れば、こんな環境に優しいファン・トゥ・ドライブのスバル車が、これからのラインナップには不可欠だ。特にカーメーカーが自動運転の話をすればするほど、運転の楽しさをアピールするスバルが、クルマ好きの間で人気上昇するのは明らかだ。

当然、各方面で高く評価されているアイサイトの安全技術も適度に進化する。2020年までには、アイサイトのドライバー支援システムがアップグレードされると同時に、レーダーを使った超正確なGPSナビも採用される。

確かにスバルがヴィジヴ・ツアラーに導入する技術は業界のトップレベルだし、世界ラリー選手権やニュルブルグリンク24時間レースで鍛えられた走りも当然進化する。でも、世界中のクルマ好き、いや特にスバルを愛する「スービー」たちが心から望んでいるのは、このヴィジヴのコンセプトにできる限り近いフォルムで次期量産車を出してくれることだね。

スバルよ、ヴィジヴ・ツアラーのエッジ、ブリスターフェンダー、完璧なプロポーションをいじらないで欲しい。ぜひ、そのままで。プリーズ。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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