コースのアップダウンの多さは、マスターズ・トーナメントが毎年開催されているオーガスタ・ナショナル・ゴルフ・クラブにやや似ているところがあって、それなりにタフである。
シグネチャーホールは、6番の125ヤードのパー3である。ワンオンも中々難しいゆえ、二段の非常に難しいグリーンになっていて、前回の全英オープン最終予選が開催された時には平均スコアが4を超えてきたという逸話もある。地元の人いわく、ロイヤル・トゥルーン・ゴルフ・クラブの8番ホールの名物「Postage stamps(郵便切手)」と双璧をなすショートホールという事が自慢だそうである。
余談になるが、イギリスの児童文学作品『クマのプーさん』の作者、英国随一の風刺漫画雑誌『パンチ』の編集長だったA.A.ミルンが、24年にロイヤル・アッシュダウンの森の別荘を購入し、物語の舞台としたことは有名だ。息子のクリストファー・ロビンにハロッズで買ったテディベアと、その仲間のカンガルーやティガー(それらも、すべてハロッズで購入されている)が活躍する作品である。
61年にアメリカのウォルト・ディズニー・カンパニーが映像化権や商標使用権を買収したものの、イギリス人からすると、いまなお最もイギリスらしいキャラクターである。最初にディズニーが制作した映画のプーさんがアメリカ中西部の田舎アクセントでしゃべっていたため、映画評論家が中心となって運動を起こし、イギリス南部のアクセントに直させたという逸話は、イギリスひいきの筆者からしてもニヤリとするところである。
あっという間にセルフで回り終え、19番ホールのクラブハウス内でギネスを飲んでいると、メンバーたちとの交流はそれはそれは楽しいものであった。英国のカントリーサイドの美しさに改めて感無量になり、かつて英国で青年期を過ごした白洲次郎さんがカントリージェントルメンを目指していたことに深く思いをはせることになった。いやはや名門クラブである!また再訪せねばならないコースであろう。
コースの中で最も高い位置にある11番ホール。100年前から変わらない森に囲まれた美しい景色を楽しむことができる。
こいずみ・やすろう◎FiNC 代表取締役CSO/CFO。東京大学経済学部卒。日本興業銀行、ゴールドマン・サックスで計28年活躍。現役中から、インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢・発起人、TABLE FOR TWO Internationalのアドバイザーなど社会貢献活動にも参加。お金のデザイン社外取締役、WHILL、FC今治のアドバイザー。