ビジネス

2018.03.27

経営者だからこそ追求できる「面白さ」がある|カヤック・柳澤大輔

柳澤大輔 面白法人カヤック 代表取締役CEO

GDPに代わる新たな幸福の指標を探すべく、「鎌倉資本主義」を提唱するカヤック代表の柳澤大輔。自分の会社を「面白法人」と名付け、前例のない企画を打ち出してきた彼にとって、そもそも「面白さ」とは?上場企業経営者として「面白さ」にこだわる理由を聞いた。


岩佐:自分の会社を「面白法人」と名付け、新たな幸福の指標を見つけるために「鎌倉資本主義」をやっていると仰いますが、柳澤さんはそもそもどのような動機でこうした活動をされているのでしょうか。

柳澤:うーん、なぜでしょう……。基本的になんでも楽しめる方だとは思うのですが。

やっぱり、根本にあるのは「面白がる人を増やす」というお節介な目標なのかもしれませんね。「面白法人」という名前もそうだし、「鎌倉資本主義」やゲーム事業も、それを誰かが楽しんでくれたら嬉しいですから。

負け続けている人がいるのは、あまり面白いことじゃないと思っています。前回、既存の資本主義によって格差が広がるのは良くないと言いましたが、実は勝ち負けそのものが悪いとは考えていません。勝ち負けがあるからこそ、世の中は面白い。ただ、格差が広がるということは、誰かが勝ち続けているということ。誰もが勝ったり負けたりするから面白いのであって、ずっと同じ人が勝ち続けているのはゲームバランスが悪いじゃないですか。

どこかに一発逆転のチャンスが残っていると思える方が、みんなが楽しめますよね。麻雀でも誰かが負けこみすぎて一緒にやってくれなくなるのは、嫌じゃないですか。こうした思いをずっともっているから「面白法人」という名前を思いついたのか、「面白法人」という名前のおかげでこういう考え方が強化されたのかはわからないですけどね。

岩佐:やはり、いい意味で単なる地域貢献や人のよさが動機ではなかったんですね(笑)



「面白さ」に潜む矛盾に対応するには

岩佐:人を面白がらせるのが好きな人自体は少なくないと思うのですが、柳澤さんがすごいのはそれを企業という組織でやっている点だと思います。

柳澤:経営者として、「数字を追いかける」ことは面白いですね。前回も話したように、企業という組織はKPIなどの数字を追求するのが得意な特性があると思っています。経営者という立場だからそれを遵守している部分もありますが、僕自身にとってもそれは楽しいことなんですよね。

岩佐:柳澤さんは経営者として、企業という単位でできる面白いことにフォーカスしているということでしょうか。

柳澤:そうですね。僕は基本的に、持っているものの範囲でできる面白いことを探すんです。持ち物が増えたらできることも広がるから、それでまた何ができるのかを考えますね。

また、どんどん違うことをやるのが好きなんですが、これも経営者向きなのかもしれません。ある程度カマコンの形ができたら仲間に任せ、新たな地方展開にコミットする。地方がスケールしたらそのプラットフォームに載せるものをさらに考えて……というように。成長しなければならないとは思いませんが、僕個人としてはいろんなことをやったほうが面白いんですよね。
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編集=フォーブス ジャパン編集部 写真=松本昇大

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