ビジネス

2018.03.26

課題解決力で日本を凌駕、世界が注目するアフリカの「優秀な人材」

Zipline社の専用空港から血液製剤を搭載して離陸するドローン



500 Startupsのオフィスでビジネスプランを披露するアルジェリア留学生

そこで最高の評価を得たのは、東京大学、大阪大学など国内の有名大学の学生ではなく、アフリカのアルジェリアからやってきて、神戸情報大学院大学で学ぶ女子留学生であった。彼女のビジネスプランは、子供の誘拐を防止するために、IoTとGPSを活用して子供の現在位置をリアルタイムに把握し、異常があれば保護者に警告を通知するという、社会的にも重要な価値を持つものだ。

そのプランに比べて、日本人学生のプランは、訪日外国人旅行客を大学生が案内し同時に英会話体験ができるマッチング事業やITエンジニアの技術・知識のシェアリングサービスなどで、ニーズはあるかもしれないが、どれも重箱の隅をつつくものばかり。解決する社会課題の大きさを重視するシリコンバレーの投資家にはおよそ刺さらないものばかりだった。社会課題を一刀両断で解決するアルジェリアからの女子留学生のプランに勝てるわけはない。

「500 Startup」とルワンダは同列

そのような大きな課題に向かっているアフリカの人たちに対して、日本もただ黙視しているだけではない。DMM.comは、2016年にソフトウェア開発・運営を行うルワンダの会社HEHE LABS Ltd.(ヘヘ・ラボ)を買収した。

同社の創業者でCEOのクラリス・イリバギザさんは、フォーブス誌のアフリカで最も将来性のある若手起業家30人にも選出されるカリスマ女性起業家だ。また同社の会長に就任したアレックス・カブングさんも、「アフリカ諸国へのビジネス展開を進め、自社をアフリカ最大のIT企業に成長させる」と語り、キガリにあるカーネギーメロン大学や神戸情報大学院大学で学んだ優秀な人材の確保を進めている。

また、日本政府もルワンダに熱い視線を送っている。JICA(国際協力機構)が2017年からルワンダでイノベーションのエコシステムを構築する技術協力プロジェクト(2017年10月〜2020年9月)を開始した。街づくりや道路建設でない、新しいアフリカの開発及び支援だ。

外務省は今年3月、ルワンダのICT大臣を日本に呼んで、日本企業とのつながりも深めた。今年5月には、キガリで開かれるアフリカ最大のIT関連国際会議「Transform Africa Summit 2018」に、総務省、JICA、神戸市が共同でジャパンパビリオン(日本館)の出展を計画し、参加する日本企業を募っている。

神戸市と「500 Startup」との連携は最先端のテクノロジーという技術力、アフリカのルワンダとのそれは成長力と課題発見力、私から見るとそれは同一直線上に位置している。次回は、人口減少社会の中での地方創生と自治体の可能性についてと、最先端のテクノロジーとデータ活用をどのように社会・地域課題の解決に生かしていくのか、神戸市の新たな挑戦をレポートしたい。

文・写真=多名部重則

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