CommonBondの累計資金調達額はこれで、1億3000万ドル(約136億円)以上に達した。同社の共同創業者でCEOのDavid Kleinによると、調達資金はマーケティングや新規顧客の獲得、テクノロジーの増強に用いるという。
さらに同社はブロックチェーンを用い、顧客の個人情報を安全に管理する技術を増強していく構えだ。「個人情報を安全に管理し、業務を効率化させる上でブロックチェーンは欠かせないテクノロジーになる」とKleinは述べた。
調査グループ「Student Loan Hero」によると、米国の学生ローンを抱える人口は4420万人に及び、負債額の総計は1兆4800億ドル(約157兆円)に達している。CommonBondは5年間金利固定のローンを提供し、借り換えの場合は初期手数料無料で、金利は3.18%から5.65%のレンジとなっている。
また、学生や卒業生が対象の新規のローンに関しては、初期手数料が2%で5年間金利固定のローンを、5%から8%の金利で提供している。
現在37歳のKleinは2012年に、ウォートン・スクールのMBAコースで出会ったMike TaorminaやJessup Sheanとともに同社を設立した。これまでのローンの貸出額は15億ドル以上に達しているが、発生したデフォルト(債務不履行)は2件のみだという。
CommonBondは競合の「SoFi」と比較すると成長スピードは遅く、慎重に事業に取り組んでいる。貸出可能額30億ドルを誇る同社は2万5000名に及ぶ"借り手"たちを、あえて"メンバー"と呼ぶことで知られている。CommonBondは2018年2月にフォーブスが発表した「フィンテック50」の1社にも選ばれた。
銀行の支援を受けて業務を拡大
2017年にCommonBondの売上は前年度比250%の成長を記録し、Kleinによると収益目標をクリアしたという。今後は学生ローン以外の分野への進出も計画している。
Kleinによると、今回の資金調達で2つの銀行から出資を受けたことで、競合のSoFiや「Navient」に対する大きなアドバンテージが得られたという。
「フィンテック企業は、既存の金融機関が相手にしない顧客らを相手に、テクノロジーの力を活用してビジネスを行ってきた。一方で伝統的な金融機関は膨大な顧客ベースと資金を持っている。今後は銀行と連携をとりつつ、より多くの消費者にサービスを提供していきたい」とKleinは述べた。
昨年から同社は企業向けに「CommonBond for Business」という部門を立ち上げた。これは、雇用主たちが従業員の学生ローンの支払いを援助する仕組みで、これまで約200社が参加している。
CommonBondは全米の学生たちをつなぎ、就職支援を行う取り組みも行っている。同社はまた、NPO団体の「Pencils of Promise」に100万ドル近い寄付を行い、貧困にあえぐ子供たちに学習機会を提供している。