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2018.03.24

iPhone Xの新CM、秀逸な出来も割高感打ち消せず?

Hadrian / shutterstock


公正を期すために言っておくと、アップルはその他の機能に特化したCMも流している。ポートレートライティング機能や「アニ文字」をアピールするもの、各機能をまとめたものなどだ。アップルは、こうしたテレビCMなどを総合すれば、消費者が300ドル増しの事実にも納得することを期待しているのではないだろうか。

顔認証のコマーシャルは壮大で、非常に良くできている。しかし私は、アップルにとって逆効果になるのではないかと考えている。このコマーシャルが壮大で素晴らしいものであるがために、消費者はアップルが顔認証に全てを懸けているように見えてしまうかもしれないからだ。

他のコマーシャルを見ていない人は特に「本当にこれだけ?」と思うだろう。企業のマーケティング部署は全コマーシャルをチェックするが、消費者はそうとは限らない。

多機能商品の魅力をどうCMで伝えるか

私はアップルに心から同情する。iPhone Xは、さまざまなことが高水準で可能な素晴らしい商品だが、テレビCMは一つのメッセージに絞らなければ成功しない。ここで、たった一つの機能に焦点を当ててコマーシャルを作った点で、アップルを称賛したい。本当に素晴らしい作品だ。

しかし、機能に焦点を当てるのは果たして正しい戦略なのか? 個人的には、ポートレートライティングの機能には一定の魅力があると思うが、これはiPhone 8でも使える機能だ。フェイスIDはiPhone Xだけの機能だが、先ほども言った通り、これだけに300ドルの価値はあるのだろうか? アニ文字機能の方もどうだろう?

私は、機能に焦点を当てて大々的に宣伝しても、この商品の全体的な素晴らしさを伝えられないと思う。アップルを理解している私はiPhone Xのために300ドル追加で払う意義はあると請け合える。ただ、コマーシャルからはこの価値が伝わってこないのだ。

編集=遠藤宗生

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