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I write about the importance of creativity in modern branding.

Hadrian / shutterstock

アップルは、スマートフォンを見るだけでロックを解除できるiPhone X(テン)の顔認証機能「フェイスID」に特化した素晴らしいCMを発表した。CMは独創的で、楽しい演出が見る人を引きつける。しかし、このCMにiPhone Xの高価格を正当化する力はあるのだろうか?



「顔で世界を解除する」という独創的アイデア

このCMで私が気に入っているのは、一つの点に的を絞っていることだ。CMは、女子高生が学校でスマホを見つめると、魔法のようにロックが解除されるシーンから始まる。本当の魔法が始まるのはここからだ。

彼女が顔を向けるだけで、ロッカーや体育館のシャッター、車のトランクが次々と開いていく。最後には、パンク系の若者の頑丈なチェーンネックレスまで外れてしまう。ロック解除の瞬間には音楽がそれを大げさに強調し、雰囲気を盛り上げている。

主演の役者も普通の学校にいる普通の女の子のようで、良い味を出している。彼女は、どんなものでも開けることができる新たな能力に即座に慣れて、超能力と化した自分の「顔」を四方八方へ振りかざし、あらゆるものを解錠していく。

このコマーシャルでは、世界にあるすべてのものを解錠する場面を描くことで、顔を使って何か(この場合はスマホ)のロックを解除することの素晴らしさが表現されている。この戦略を実に見事に表現した企画制作者らは、称賛に値する。

しかし、この独創的なCMの背後にある戦略には、説得力があるだろうか?

顔認証に300ドルの価値はあるか

この戦略を立てたのが誰にしろ、次のような計算をしたはずだ。iPhone Xは、同サイズのiPhone 8と比べて300ドル(約3万2000円)高価格で販売されている。そのため、コマーシャルで伝えようとする機能が何であれ、iPhone Xの購入を考えている消費者に「これなら300ドル分の価値がある」と思わせなければならない。

本当にその価値があるかは、私には分からない。iPhone 8ではホームボタンに親指を乗せるだけで、いとも簡単にロックが解除できる。つまり、iPhone Xで省かれた手間は、ホームボタンに親指を乗せる作業のみ。それだけのために、300ドル──?

編集=遠藤宗生

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