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日本の不動産最前線

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2012年の民主党から自民党への政権交代以降、都心部の新築マンション市場を中心にここまでかなり上昇してきた価格水準は、マイホーム購入検討者には悩ましいところだろう。

不動産経済研究所によれば、2018年2月の首都圏新築マンション価格平均は6128万円と、依然として高止まり傾向が続いている。東京都区部に至っては平均7223万円と、普通のサラリーマンが買える水準をはるかに超えている状態だ。

いくつかの新築マンションモデルルームでは、値下げを提示するケースも見られることなどから、このところ一部では「バブル崩壊だ」と騒ぎ立てる向きもあったが、かつて15〜20%程度だった、資金体力のある大手デベロッパーの市場占有率は50%を超え、中小デベロッパーも事業ポートフォリオを分散するなどで、90年バブル崩壊や08年リーマンション時のように、市場が大きく崩壊する地合いにはない。

さて、こうした一部不動産市場の「高原状態」が続いている理由はいくつかあるが、なんといっても一番大きいのは「低金利」だ。

例えば住宅ローン5000万円を金利1.5%、期間35年で借りると月々の返済は約15.3万円。支払金利は1430万円、総支払額は6430万円で済むが、3.5%に上昇した場合には月々の支払いは20.7万円と4.4万円も増加。支払金利は3679万円に跳ね上がり、総支払額は8679万円と2249万円も増えてしまう。したがって毎月の支払いを15.3万に抑えるなら、借入れは3700万円にまで下げる必要があるが、これはマイホーム購入予算が1300万円下がるのと同義だ。

金利が上がるとローン残高もなかなか目減りしなくなる。先の例で1.5%金利なら20年後のローン残高は2490万だが、3.5%の場合は2914万円と424万円も多く残る計算だ。

固定金利か変動金利か?

では低金利を追求して、固定金利よりも相対的に金利が低い「変動金利」を選択すればよいかというと、事はそう単純ではない。文字通りローン金利は変動するため、同じ支払額が未来永劫続くことは当然ながら保証されていない。とはいえ毎月の支払額の低さや借入残高が早く目減りする魅力は捨てがたい。

このメリットを享受できるのは、株価や金利動向に敏感で、金利上昇の兆候がみられたらすぐに固定金利へと借り換えできる自信がある人か、いざとなったら多額の自己資金を入れて繰り上げ返済をし、金利上昇のリスクを低減できる人などに限られるだろう。

これから住宅ローンを組む方には、原則として固定金利をお勧めしたい。日銀は10年物国債金利を0%近傍に誘導する方針を当面は継続するものと思われるが、この方針はいつ変更されてもおかしくはない。金利動向について具体的かつ長期的な展望は描きにくいが、いつか金利は上昇するものだと身構えておいたほうがいいだろう。

この時に注意したいのが住宅ローン契約(金銭消費貸借契約)の具体的な中身。とある金融機関の固定金利ローン契約書には、以下のような条文がある。「金融情勢の変化その他相当の事由が発生した場合、適用金利が見直される場合があります」。これは固定金利とは呼べないではないか、と金融機関に確認したところ「固定金利契約であっても、金利上昇する可能性はゼロではない」とのことであった。

またこの金融機関の場合は、変動金利の契約書もユニークだ。一般的な変動金利の契約書には、どんなに金利上昇しても、5年ごとの支払額見直し時には、1.25倍以上にはしないという、いわゆる「キャップ制度」を設けている金融機関が大半だが、条文にはこの制度について記述がない。つまり理屈上は、金利が大きく上昇すれば支払額もリニアに、しかも青天井で上昇する可能性があるということだ。

住宅ローン選びの際には、ローン契約書の条文についてよく吟味しよう。

文=長嶋 修

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