米国で進む「データドリブン農業」 ワイン農園もドローン活用

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農業分野では新たなテクノロジーの投入で、ビッグデータの活用が以前よりも広範囲に行われるようになった。ドローンを用いた上空からの農地の撮影や、衛星写真を活用したデータ収集により農作物に関する巨大なデータが収集可能になっている。

しかし、ここで浮上したのが膨大なデータをいかに有効活用していくかという問題だ。2015年に設立のスタートアップ「Skycision」は先日、110万ドルのシード資金を「Innova Memphis」らから調達し、この課題への取り組みを始動した。Skycisionはドローンを用いて取得したデータを用い、農地の改善を行うプラットフォームを提供する。

この分野では既に様々な企業が、同様な取り組みを進めているが、Skycisionがユニークなのは彼らが高価値な農作物に注力している点だ。

「我が社のプラットフォームは高価値な作物の育成に特化している。取得した画像データを、これまで存在しなかったデータベースの構築に用いていきたい」と、SkycisionのCEOのBrendan Carrollは述べた。

Carrollによると同社の顧客の8割以上は、カリフォルニアのナパバレーでワイン用のぶどうを育てる農家だという。しかし、Skycisionのもとには、ストロベリーやアボガドといった他の高単価な農作物の生産農家からも相談が寄せられている。


Skycisionのビジネスモデルはごくシンプルだ。同社は農家の人々が市販のドローンを用いて撮影した画像データをプラットフォームで分析し、適切なアドバイスを行う。また、自身でドローンが操作できない人々には、撮影を代行するサービスも提供している。

今回の調達資金で同社はオペレーションを拡大し、既存のドローンのデータのみならず衛星写真を用いた分析を、より多くの顧客に提供していく計画だ。「ドローンにも衛星写真にも、それぞれの利点がある。両者を組み合わせることにより、分析のクオリティを上げていく」とCarrollは話した。

Skycisionはコンピュータビジョンを用いたアルゴリズムで作物の収穫量を分析し、雑草を見分けるシステムの構築にも取り組んでいる。今後はぶどう農園だけでなく、あらゆる高単価作物の育成にテクノロジーを役立てていきたい考えだ。

「農業分野でのテクノロジー活用には大きな可能性がある。ここではスタンダードとなる、データ活用方法がまだ確立されていないのだ」とCarrollは述べた。

編集=上田裕資

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