従業員の過半数が「外国籍」になって見えたメリット

ミニマル・テクノロジーズ社長兼開発者、林鷹治

最短5分でウェブサービスを30カ国語に翻訳できる多言語化開発ツール「WOVN.io」。ミニマル・テクノロジーズ社長兼開発者の林鷹治氏に創造性を育む日常の楽しみを聞いた。


「ECサイトの売上向上のために海外発注を狙いたい」「東京オリンピックに向け店舗のサイトを多言語化して外国人観光客を呼び込みたい」など、さまざまなニーズを持つ顧客に対し、ウェブサイト多言語化ツール「WOVN.io(ウォーブンドットアイオー)」を開発・提供しています。

3社目に勤めながら週末に趣味でつくっていた「個人向けのブログ翻訳ツール」がもともとのアイデアで、縁あって出資を受けられることになり、2014年3月に起業。現在は30カ国語に対応し、おかげさまで約1万社以上にご利用いただいております。

社員は33名で、そのうち6割が中国、台湾、アメリカ、フランス、オランダ、インド、ベトナムなどの外国籍メンバーです。

多国籍な組織をどのように運営しているのか、よく訊かれるのですが、20歳年上の日本人営業マンより、ポケモン&ドラゴンボール世代の外国人エンジニアのほうが仕事に対する価値観や考え方が近いので、そんなに苦労はありません。ただ、海外在住の就職希望者の場合は、プログラミングの実技試験をしっかりと作成し、スカイプ面接も3回重ねて、入社後の誤解が互いにないよう苦心しています。

多国籍のメリットとしては、しっかりとわかるまで話すという文化が社内に醸成されたこと。日本人同士の以心伝心的コミュニケーションは、多国籍メンバーには通用しませんから、論理的な会話が活発になりました。

クリエイティビティで心がけているのは、新しい技術が出てきたら真っ先に使ったり、自分であらためてつくったりすることです。リバースエンジニアリングといって、技術の水平思考、つまりサービスや技術の応用力が鍛えられます。特に社長であるいまはサービスのソースコードをいじることができないので、土日や長期休暇などに趣味でつくることが多いです。

趣味は落語と将棋ですね。落語にはまったのはYouTubeがきっかけで、小さな画面で短尺映像が主流の媒体で思い切り長尺の落語という形態に惹かれました。

好きな演目は、古典だと「猫の皿」。古美術商が旅先で立ち寄った茶店で、亭主を騙して猫の皿を買い叩こうとするも、逆に亭主のほうが一枚上手だったというお噺です。でも実は古典より立川志の輔さんなどの新作落語のほうが好き。噺家は、同じ噺を何回もするのに、さも初めて語るような新鮮さを失わず、かつ噺を進化させるところが素晴らしいと思います。
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構成=堀 香織 写真=yOU(河崎夕子)

この記事は 「Forbes JAPAN 100人の名言」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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